デミリッチ/Demilich:2014『モンスター・マニュアル第5版』より

 当書においてD&D5版におけるデミリッチ設定が更新される。

 ここでのデミリッチは単なるリッチの成れの果てではなく、経箱に魂を与えることで再びリッチの姿に戻ることができると書き加えられた。

 本書のデミリッチは、3版の『Epic Level Handbook』、4版の『Open Grave, Secrets of the Undead』と同じく、“一般的なデミリッチ”であることを失念してはならない。



デミリッチ/Demilich:2014『モンスター・マニュアル/Monster Manual』より

 当書においてD&D5版におけるデミリッチ設定が更新される。

 ここでのデミリッチは単なるリッチの成れの果てではなく、経箱に魂を与えることで再びリッチの姿に戻ることができると書き加えられた。

 本書のデミリッチは、3版の『Epic Level Handbook』、4版の『Open Grave, Secrets of the Undead』と同じく、“一般的なデミリッチ”であることを失念してはならない。


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デミリッチ・アサーラック:2013『ダンジョン誌213号・恐怖の墓所 NEXT版』より

 脅威度14式。5版(当時はまだNEXT)に突入して初めて版上げされたデミリッチ・スタイルのアサーラック。


 4版では過去を掘り下げるだけで時間は進まなかったが、5版に入って次元変動でトリルに習合されたことで、アサーラックの新たなる戦いが始まる。

 これはその前哨に過ぎない。

デミリッチ・アサーラック:2010『恐怖の墓所 第4版』より

恐怖の墓所 (ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版 10~22レベル・キャラクター用アドベンチャー)

恐怖の墓所 (ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版 10~22レベル・キャラクター用アドベンチャー)

プロト・アサーラック:2009『シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲』より

シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲 (ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版)

シルヴァー・クロークス戦記 巨人族の逆襲 (ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版)

アサーラック:2009『ドラゴン誌 #371 アサーラックの遺産/Legacy of Acererak』より

 俺たちは、あのロクでもない案内人に従って忌まわしい墓場に入った。みんな笑って、くちぐちに強がりを言い合ってた。暗闇に踏み込んだ無鉄砲な冒険者は5人だった。だが生きて出てきたのは俺だけだ。一人目は闇に飲み込まれた。勇敢なリリアンは大胆にもあの大きな口の中に飛び込んだんだ。キャスタはクソッタレな罠を起動させて死んだ。ダートの一斉射撃を浴びて、彼女の血は毒でいっぱいになった。アルグラムは光るポータルに踏み込んだ。俺はたぶんあいつが死んだと思う。だって俺たちに届いたのはあいつの悲鳴だけだったから。そしてフィリップ。可哀そうなフィリップ。あいつはどくろの目を覗き込んだだけで、崩れて塵になっちまった。俺は、俺だけは五体満足で逃げることができた。でも心はそうじゃなかった。墓場の恐怖はまだ俺に付きまとってるんだ。アサーラック。くそったれリッチ。あいつは俺の死を待ってる。俺が死んだら、あいつは俺の魂を盗み、あのクソな場所に残してきた仲間と一緒に放り込むんだ。忘れるなよ。死ぬんだったらアサーラックの墓場を荒らすより簡単な方法はいくらでもあるんだからな。


デミリッチ/Demilich:2009『Open Grave, Secrets of the Undead』より

Open Grave: Secrets of the Undead: A 4th Edition D&D Supplement

Open Grave: Secrets of the Undead: A 4th Edition D&D Supplement


 当書においてD&D4版におけるデミリッチ設定が更新される。

 同書には、アサーラックが“恐怖の墓所”に置き残した人造デミリッチの更新版である「人造アサーラック」、および「アサーラック」が掲載されている(これらは『恐怖の墓所第4版』に再掲載されているためカットする)。

 以下は4版デミリッチをエッセンシャル以降の規模にアップデートしたもの(『Open Grave』は4版最古のサプリであるため)。


二代目アサーラック:2008『Prisoner of the Castle Perilous』より

 WEBダンジョン153号に発表されたアサーラック・サーガ(そんなものはない)の一編。
 負の次元界に浮かぶモイルの塔に居を構えたリッチ・アサーラックの陰謀を暴く冒険。


 なお、フォーゴトン・レルム世界北部のヴァサに“魔王”ゼンギーの居城として同名の“危険の城”が存在するが、アサーラックのそれとは無関係(か?)。



 この4か月後には3版系列は終了する。


 以下ネタバレ。

















 悪意に満ちたリッチは自身に猛悪な形質転換を試みていた。それにより、彼は自身を幽閉している“危険の城”から逃れ去ることができるだろう。彼の計画のカギは、彼の領土にして牢獄である負のエネルギー界に投獄された聖者を救出しようと試みる、勇敢なる冒険者を誘い出す点にある。救出を試みた多くの英雄が既に贄となり、究極の対価を支払っていた。彼の究極の目的はまもなく果たされようとしていた。あなたの冒険者グループは間に合うだろうか? あるいは、彼をデミリッチに形質転換する贄となってしまうのだろうか?

 『“危険の城”の囚人』は18レベルPC4人用の、次元界のうち負のエネルギー界に基づいたキャンペーンに適した冒険だ。PCは負のエネルギー界に散らばる“危険の城”のひとつ ‐ モイルの“引き裂かれた塔” ‐ に乗り込み、強力なリッチの企みを撃退しなくてはならない。次元界自体と塔の内外には守護者や罠が潜んでいる。これはあなたのプレイヤーが決して忘れることの出来ない、非常に挑戦的な探索行だ。


冒険の背景 Adventure Background

 何年も前、死霊国建国という青雲の志に燃えるウィザード、アサーラックが、信仰の階梯を登るパラディン、ペンティヴァル卿と衝突した。剛力と魔力の勝負の結果、アサーラックは敗れ、殺される前に敵から逃げ出した。長い年月が過ぎた。アサーラックは彼の計画を挫かんとしたペンティヴァル卿について思い返していた。アサーラックは彼の死霊国建国の目的を達し、また肉体は強力な、後世の人々を大いに震撼させる恐るべきデミリッチに形質転換していた。

 しかしながら、“恐怖の墓所”を築く前の私怨を晴らすため、アサーラックはペンティヴァル卿に復讐を開始した。晩年のペンティヴァル卿は、ペイロア教会において聖者となっていた。一部では、彼は英雄神の地位に定められていると囁かれていた。だが彼はある日突然失踪した。当惑する信者たちを置き残し、突然に消え失せてしまったのだ。最も強力な占術とミラクルですら、彼を連れ帰ることも、彼がどこに去ったかについて示すこともできなかった。

 アサーラックは多年に渡って復讐計画を練り上げ、細心の注意を払って計画の孔という孔を潰していった。彼は負のエネルギー界を広範に調査した結果、無明の疑似次元界に捕らわれたモイルという崩壊した廃都に行きついた。そこで彼は多くの秘密と失われた秘術工学の粋を発見した。アサーラックは強力な魔法を行使し、閉じ込められた都市から塔を1つ引きちぎり、それを負のエネルギー界に押し出した。デミリッチは漂流物を「モイルの“引き裂かれた塔”」と命名し、異次元監獄として活用した。後に賢者と専門家はそれを“危険の城”と呼んだ。アサーラックは聖ペンティヴァルを捕らえた後、“危険の城”で旧敵の老パラディンに対して一連の実験と様々な拷問を行う用意をした。彼は準備万端整った時点で計画を発動し、聖ペンティヴァルを捕らえると、彼をモイルの“引き裂かれた塔”の炉心に拘束した。

 アサーラックは間もなく敵への拷問に飽き、他の陰謀を計画するようになった。デミリッチは彼の物理的形態のシミュレイクラムを作り、投獄した聖者の管理者として塔に配置した。しかしアサーラックは魔力に対する渇望の末、最終的に彼は手を出してはならない相手に手を出すと、強力な勇者に打ち負かされてしまった。

 何年も時が過ぎ去り、自身こそが主であると自覚したアサーラックのシミュレイクラムは、自身の装置について驚異的な発見をした:モイルの“引き裂かれた塔”に収納されていた古代の秘術装置は、生きている存在を素材として魂を吸い上げ、自身の魂を再設計することができる - 創造者の影ではなく、本物の生物になれるのだ。唯一の問題は、ザ・ソウル・マシンが変成を行なうには膨大な量の魂が必要だということだ。ザ・ソウル・マシンを通すことで、魂の持つ力は大幅に減衰した。アサーラックのシミュレイクラムが懸命に塔に残る機械と文書を研究しても、彼は魂を吸い上げる過程でその力を維持する方法が発見できなかった。そのため工程は遅々として進まず、幾年もかかることになったが、彼は最終的に自身を再設計することができた。シミュレイクラムは本物のクリーチャーに、以前の主人と同様な強力なリッチとなり、彼はほぼすべてについて元祖と同じ方法論と計画を維持した。それには文字通りに何百という生きている存在が費やされたが。

 新たに形質転換されたアサーラックは元祖の目的を達成したため、モイルの“引き裂かれた塔”を去ろうと試みたが、シミュレイクラムとしての彼自身を生み出した強力な呪文が彼と塔を結びつけていることに気付いた。

 数年を経て、アサーラックはザ・ソウル・マシンについて他の使用方法を学んだ。彼は素材として蓄えられた未精錬の魂を使い、様々な生命を作り出し、改変することができることを知った。その目的は塔ともその機能とも無関係だった。十分な魂があれば、それは自分自身を前任者のように強力なデミリッチに形質転換することができるだろう。その工程には何年も必要だ。しかし、問題が無い限り、アサーラックは忍耐強いクリーチャーだ。

 そうして塔により多くのクリーチャーを引き寄せるべく、狡猾な計画が練られた - 冒険者や未だに聖ペンティヴァルを捜索している愚か者どもがモイルの“引き裂かれた塔”にやって来て、アサーラックの敷いた蜘蛛の巣に掛かり、彼の昇格計画に供するべく魂を収穫できるだろう。新たなるアサーラックは、本物の“貪る者”アサーラックの物理的顕現であると吹聴し、アンデッドと生きている教徒を召集すると物質界にちょっとしたうわさを流し始めた。この計画は驚くほどよく機能した。何年かを経た現在、二代目アサーラックはまもなくデミリッチに昇格しようとしていた。しかしながら、最近になって新たな犠牲者として塔に入った小集団のひとりがリッチの手から逃れ、アサーラックの猛悪な計画の情報を外部にもたらした。教徒の一群がその者を捕らえるか黙らせるために派遣されたが、それはリッチの手に負える範囲を超えた新たなる勇者の一隊の興味をも惹きつけるという、望まぬ結果をもたらすかもしれない。


冒険の要約 Adventure Synopsis

 冒険の開始時、PCは地元のペイロア教会に呼び出されてその身廊にいる。そこに負傷して取り乱したウィザードが駆け込んでくる。彼はアンデッドとヒューマンの崇拝者でいっぱいの、アサーラックの恐るべき塔から逃れてきたと主張する。この塔は生きている者から魂を吸い取る巨大な機械そのもので、アサーラックが悪しき目的のためにこれを操っていると告げる。彼が事情説明をしている間に、逃走したウィザードを黙らせるために送り出された崇拝者の攻撃部隊が到来する。戦闘終了後、PCはアサーラックの塔まで旅をし、彼の悪しき計画を止めるように依頼される。

 PCがモイルの“引き裂かれた塔”に到着後、彼女らは塔の側面に張り出した幾つかの小塔を調査することで、秘術装置にパワーを供給する複雑な機構を発見する。彼女らは機械を監視するフォーセイクン・シェル、ヴァンパイア・ウィザード、強化されたシェイドスチール・ゴーレムと対峙する。

 塔にはいくつかの侵入方法があるが、PCが不注意であるなら封鎖しているヴォイドストーン製の扉で灰にされてしまうだろう。2つの防御陣の1つ目は侵入者に対する罠で、トリガーされたなら死霊酸スライムの奔流が殺到する。第二の陣は生きている者にとって致命的な、負のエネルギーの矢で満たされている。

 塔の五層すべてを捜索する過程で、PCは占術から塔と住民を防護するブレイン・イン・ア・ジャーとその護衛であるレイジウィンドと遭遇するだろう。彼女らはまた様々な罠、ヴァンパイアのウィザード、人間の崇拝者、さらに塔の複雑な機構の秘密を知るガエルを警護するデス・ジャイアントに出会うだろう。彼女らはまた、四本腕のハーフ・フィーンド・ガーゴイル、マミーの研究者、火と冷気を吐き出すアイアン・ゴーレムと戦うだろう。

 もしPCがガエルをデス・ジャイアントから救出するなら、彼女らは彼女と同盟を組むかもしれない。彼女はアサーラックの機械を止めるだけではなく、彼を弱体化させるためその流れを反転させる方法まで知っている。

 塔の下のダンジョンに踏み込むことで、PCはリッチ・アサーラックと従者のマリリスと対峙する。もしPCが機械を破壊するかガエルの助けを借りて停止させているなら、リッチとの遭遇は脅威が低下する。そうしないのであれば、彼らの対峙は極めて困難になるだろう。

 もしPCがアサーラックの破壊を成功するなら、冒険の本質は終わる。もし彼女らが複雑な魔法機械を使う秘密を学ぶなら、彼女らは最近の犠牲者の生命を救えるかもしれない。彼女らはまた、聖ペンティヴァルの運命についての知識を関係者に提供することができる。


冒険の終わり Concluding the Adventure

 もしPCがアサーラックを破り、彼の経箱を破壊するなら、彼の生ける存在に対する脅威は終わる。しかしながら、もし崇拝者のいずれかが、彼の仕事を引き継いでモイルの“引き裂かれた塔”に残るなら、冒険は完了したとは言えない。もしPCがアサーラックの物理形態だけを破壊して経札を破壊していないなら、リッチはまもなく復元し、デミリッチになる努力を続けるだろう。彼は望みのままに多次元界を彷徨することができる - したがって復讐のためにPCを探し出そうとするだろう。たとえPCが彼の手先を全滅させたとしても、アサーラックは新たな手先を集めるか作り出すには長くかからないだろう。そうして欺瞞と死のサイクルが再開される。

 塔はそれ自身が謎だ。キャラクターがここに留まることを計画するにしても、負のエネルギー界である限り、PCには常に新たなるアンデッド・クリーチャー - 単に塔に引き寄せられたのか、アサーラックの同盟者か - との遭遇にさらされ続ける危険がある。また考えなくてならないのは次元界の悪影響だ。モイルの“引き裂かれた塔”は強力なアーティファクトであり、死者に生命を与え、失われた四肢を復元させ、いかなる病をも治癒させることができる。正しく使えば、それは永久に強力な道具となるだろう。 間違って使うなら、ザ・ソウル・マシンはすべての生者を害する脅威になる。PCはどうやってそれを負のエネルギー界から移動させるだろうか? これらは臨機応変なプレイヤーと強力なキャラクターが解答を見つける必要のあるジレンマだ。覚えておくべきは、ザ・ソウル・マシンの機能はこの冒険に記されたものだけに限定される必要がない。第11区画のモイル文書を使うことで新たな機能を理解し、また多くの可能性について言及できるかもしれない。

 もしPCがアサーラックと彼の教団を完璧破壊することに成功したなら、物語報酬としてそれぞれに10000経験点を与えろ。もしザ・ソウル・マシンの受容器官内に捕らわれた冒険者たちをアサーラックが魂を抜き出す前に助け出すことができたなら、追加して10000経験点をそれぞれに与えろ。

“貪る者”アサーラック:2006『Tome of Magic, Pact - Vestige』より

Tome of Magic: Pact, Shadow, and Truename Magic (D&D Supplement)

Tome of Magic: Pact, Shadow, and Truename Magic (D&D Supplement)


“貪る者”アサーラック/Acererak, the Devourer

 アサーラック、ハーフヒューマンのリッチ。神の如きパワーを得ながらもそれを失う。残滓/ヴェステジとして、彼はリッチのパワーに類似した能力を与える。

伝説:バードと少数の学者だけがアサーラックの名前を記憶している。多くの者が知っているのは、彼の安息所である“恐怖の墓所”の伝説だ。この伝説に名高い、魔法で隠された場所に眠る富の噂が拡まるにつれ、“墓所”は多くの探検家と墓荒らしのための墓地になった。しかしながら、実際のところ、“恐怖の墓所”はアサーラックの墓ではなかった。それは永遠の非生を得、すべてのアンデッドに号令するという、彼の計画の一部にしか過ぎなかった。

 アサーラックは日記を残した。そこに含まれる情報は、崇拝者たちの動きと合わせることでアサーラックの物語を明るみにさらす。彼の日記によると、アサーラックは人間の女性とデーモンの間に生まれた。彼はひどく醜い奇形であったにもかかわらず、彼の母親は彼を育てた。そして彼が10歳のある日、数名の迷信深い村人が彼らの家に火を掛けた。アサーラックはデーモンの血により大火を生き延びたが、彼の母親は違った。彼の日記によると、アサーラックはその出来事を心に刻みつけ、死霊術への傾倒と人間社会への復讐への原動力にした。

 アサーラックは強力なウィザードになった。彼が老い、死の影が見えるようになったころ、彼はリッチへの形質転換儀式を捜し求め、見出した。彼がアンデッドに転じた後、その力は何世紀間にも渡って増大し続けた。日記によると、しかしながら、アサーラックは最終的に彼のアンデッドの体を活動させる力自体の衰えを感じていた。最後の忘却が間近くなったことを知り、彼は彼自身の秘密の墓所を作ることにした。「研ぎ澄まされた幸運と、磨き上げられた技術のみが、私から勝利を勝ち取るだろう」と日記には記されている。「そして、彼らはその努力に従った報酬を受けるべきだ」と。

 日記によると、“恐怖の墓所”が提供する報酬は、一事が万事すべてにおいて、強力な冒険者たちをアサーラック - “終末の要塞”に鎮座する強力なデミリッチ - の“墓所”へとおびき出すための巧妙な計略に過ぎなかった。実際、アサーラックは強力な精神を犠牲に捧げることで、彼の意識を負のエネルギー界と統合する儀式を考案していた。もし彼が実際にこの目的を達成していたなら、彼はすべての次元界におけるアンデッドの支配権を奪い取り、神格の如き力を得て不滅の存在となっただろう。しかしアサーラックの日記には、“恐怖の墓所”の悪名は報酬を求める富に飢えた刺激好きたち以外も引き寄せたと記されている。嘆願者もやってきたのだ。知識への回答を求める死霊術師、永遠の生命の探求者、手段問わず失われた魂を求める者が、暗黒の技を求めて“墓所”への旅をした。高じて、嘆願者は崇拝者となり、道を踏み外した彼らは信仰の対処の近くに住み着いた。最終的に、“髑髏都市”と呼ばれる入植地がアサーラックの“恐怖の墓所”の周囲に出現した。

 アサーラックが彼の“墓所”引き寄せた勇者は、彼が想定したより遥かに巧妙かつ強力だった。彼らは“髑髏都市”と“恐怖の墓所”を突破すると、デミリッチの“終末の要塞”への道をも切り開いた。土壇場で彼らはアサーラックの計画を予見し、彼の神格化に極めて重要なアーティファクトを破壊した。その後、彼らはアサーラックを打ちのめし、その経箱を砕いた。

 通常であれば、アサーラックの精神はアビスに送られる。しかし“髑髏都市”の住民による崇拝は彼に神性に近い影響を与えた;負のエネルギー界と統合するという彼の欲求は、アビスの引力より強かった。アサーラックにとって不幸なことに、死した後もその魂が負のエネルギー界に飛べなかったことだ。彼の精神は目的地を失い、そのためどこにも行けなかった。そしてすべての次元界から切り離され、残滓/ヴェステジと成り果てた。


デミリッチ/Demilich:2005『恐怖の墓所3.5版改定』より

 このミスラルの貯蔵室の扉を開けてすぐの床に、うず高く積まれた宝石の山、小瓶、巻物、その他のアイテムが置かれている。対して彼方の壁際にはルーンが刻印され、石の棺台が置かれている。棺台の上には埃と骨片が分厚く層を成し、宝石が散りばめられた頭蓋骨が置かれている。

 これこそがデミリッチ・アサーラック…、もしくはそれと思しきものだろう。この“真なる”地下聖堂にたどり着いた大抵の冒険者は、その精神がアサーラックにより貪り食われてしまうことに気づき、金切り声を上げて悶え死ぬだろう。実際、ミスラルの貯蔵庫に描写された頭蓋骨は、究極的に致命的かつ強力である。この人造は真なるデミリッチが作ったものであり、彼の入念な多年に渡る陰謀を助けるためにある。真なるデミリッチは負のエネルギー界に浮かぶ〈終末の要塞 Fortress of Conclusion〉に住まっている。彼は意識を負のエネルギーの織物と統合し、恐るべき神格となるべく着々と準備を進めている…。しかし、これは別の冒険であり別の物語となるだろう(『〈恐怖の墓所〉、ふたたび』で記されている)。


クリーチャー:アサーラックは彼の骨片の山を離れるにあたり、貯蔵庫の奥にデミリッチと同様に強力な人造を残していった。もし地下聖堂で宝物に触れる者が現れたなら、塵埃は渦巻状に舞い上がり人型を形成する。この数十年の間、この形態は危険に遭うことはなく、したがって侵入者を傷つけることはなかった。しかし今やもう、この形態は宝物を奪おうとするキャラクターを攻撃する増強されたゴーストと化している。よりまずい事は、人造デミリッチは宝石で飾られた頭蓋骨の姿をしていることだ。この数十年、頭蓋骨は誰もここに到達しないことに満足していた;しかしながら、もしいずれかのクリーチャーが宝物や頭蓋骨に触れるなら、それはすぐさま起き上がり、すべての敵を滅ぼすまで《魂吸収》能力で攻撃を開始する。


人造デミリッチ/Demilich Construct/脅威度12

属性: 中立にして悪
サイズ: 超小型
種別: 人造
イニシアチブ: ±0
知覚: 擬似視覚60フィート
AC: 通常26、接触12、立ちすくみ26
ヒットポイント: 49(9ヒットダイス)
ダメージ減少: 20/キーンまたはヴォーパル武器
完全耐性: 魔法(ゴーレムと同様の;以下参照)、人造としての完全耐性
セーヴ: 頑健:+3、反応:+3、意志:+3
移動速度: 飛行20フィート(4マス)
接敵面/間合い: 2.5フィート/0フィート
基本攻撃/組みつき: 無/無
特殊行動: 魂の吸収
能力値: 【筋】10、【敏】10、【耐】‐、【知】‐、【判】10、【魅】1
特記事項: 人造の種別
特技:
技能:

魔法への完全耐性(変則):人造デミリッチは呪文、擬似呪文能力、超常能力に対し完全耐性を持ち、以下を除き攻撃者が呪文抵抗に失敗したかのように扱われる。コマンド*1、シャター*2、パワー・ワード・キル*3、アイバイト*4、ディスペル・イーヴル*5、ホーリィ・ワード*6

魂の吸収 Soul Suck(超常):通常攻撃に代わり、人造デミリッチは《魂の吸収》による攻撃を毎ラウンド行う。頭蓋骨は上空5フィートの高さに浮かび上がると、キャラクターひとりを攻撃して目標の魂を抜き取り、頭蓋骨に嵌め込まれた宝石内に捕らえようと試みる(頭蓋骨は最もダメージを与えた者を優先的に対象とする)。《魂の吸収》攻撃に抵抗するには、キャラクターは頑健セーヴィング・スロー難易度23に成功しなくてはならない。もし失敗したなら、人造は次ラウンドに再び攻撃する。もし成功したなら、魂は邪悪な微光を放つ宝石内に吸い込まれ、キャラクターの魂を失った肉体はそのラウンド中に腐敗して崩壊し、なくなってしまう。
 頭蓋骨は24時間で合計8つまでの魂を吸収することが出来る。
 もし頭蓋骨が満杯となった後にも敵が残っていたなら、それは1ラウンドに1回、術者レベルを毎ラウンド3d6+6に変動するブラスフェミィを発動する。

 
展開 Development:

 過去のある時点において、秘術と信仰双方の力に長ける並外れて邪悪なティーフリングが、幾世紀にも渡り生命力を維持する手段を講じた。このクリーチャーがリッチ・アサーラックである。以降多年に渡り、リッチは現在の墓所に位置する丘陵に設けられた陰気な石作りの広間で恐るべき家来の集団と共に時を過ごした。最終的に、アサーラックは自身の存在と潜在力を拡大する計画を思いついた。その後80年をかけ、リッチの家来は“恐怖の墓所”を作るために働いた。その後、アサーラックは彼のすべての奴隷と従僕を破壊し広間に至る回廊を魔術的に封印すると、最終工程として最高の賢者であっても知ることのない未知の次元を彷徨った(後に知られた事には、彼の最大の関心は負のエネルギー界にあったという)。

 もし人造デミリッチの頭蓋が破壊されるなら、宝石に捕らわれたキャラクターは意志セーヴ難易度18を行わなくてはならない。セーヴに失敗した者は、人造デミリッチが破壊される寸前に魂を貪り食われ、吸収されてしまう。成功した者は破壊されることはないが、その魂は宝石に捕らわれたままとなる;これは弱々しい内部の光が証左となるだろう(もしトゥルー・シーイングや類似効果で宝石を見るなら、キャラクターは宝石の中に映るごく小さな人影として見えるだろう)。この宝石は発動成功したソウル・バインド呪文として取り扱え。

*1:頭蓋骨に《魂の吸収》以外の行動を採る事を“忘れさせる”

*2:セーヴィング・スローに失敗すると10ポイントのダメージ

*3:セーヴィング・スローに失敗すると10ポイントのダメージ

*4:セーヴィング・スローに失敗すると10ポイントのダメージ

*5:5ポイントのダメージ

*6:セーヴィング・スローに失敗すると20ポイントのダメージ

デミリッチ/Demilich:2002『WOC88169 Epic Level Handbook』より

Epic Level Handbook: Dungeons & Dragons Rulebook (D&D Rules Expansion)

Epic Level Handbook: Dungeons & Dragons Rulebook (D&D Rules Expansion)


 デミリッチは一般的なリッチより賢明で、旧く、より致命的だ。


 デミリッチはしばしば眼窩や歯窩に高価な宝石を嵌め込んだ頭蓋骨として出現する。他のデミリッチは宝石を散りばめた腕や脊椎の骨格といった姿で現れる。宝石は徐々に貪り食われる魂により気味悪い光を放つ。

 特に強力なリッチはしばしばソウル・ジェム作成の秘密を学び、やがてデミリッチに変成する。デミリッチは闇の垂れ込める恐るべき墳墓に肉体の残骸を置き残し、アストラル体となって彼方の次元界を自由に彷徨する。デミリッチは数世紀に渡って次元界を徘徊し、多次元界やその先の秘密を探り出し、専用のエピック呪文を研究し、唯一無二のアーティファクトや“忌憎者”を解放して制御する鍵を突き止める。多くは最終的に多次元界の広範な部分の支配権を得る計画に至るか、彼らをして神格への閃きを与える。

 デミリッチは生前、またはリッチとして覚えたすべての言語を話すことができる。


戦闘

 デミリッチは恐るべき呪文と防御魔法の知識に没頭するより、信頼できる生得防御、魔法への完全耐性、不快な連中から魂を吸い取る能力で満足している。

魂捕獲/Trap the Soul(超常):デミリッチは1日に8体までの生きているクリーチャーに対して《魂捕獲》を行うことができる。この力を使うために、まず300フィート以内の見えている目標を選択する。目標は頑健セーヴィング・スロー(難易度36)を行うことができる。目標はセーヴィング・スローを行うと負のレベル4を受ける(これは《魂捕獲》の使用回数とは無関係だ)。目標がそのセーヴに失敗するなら、目標の魂は直ちに肉体から吸いだされ、デミリッチの姿形に嵌め込まれた宝石の1つに捕えられる。宝石は魂が捕らわれていることを示すように、24時間に渡って不気味に光る。魂のない肉体は崩壊し、朽ちて汚物の山となり、1ラウンドで塵埃と化す。もし成すがままにさせるなら、デミリッチは魂を24時間かけてゆっくりと味わう - 最終的に魂は完全に消え失せ、犠牲者は永遠にいなくなる。
 魂を食べ終わるまでにデミリッチを攻略したなら、宝石を破壊することで魂は解放され、来世を目指して飛び去る。またリザレクション、トゥルー・リザレクション、クローン、ミラクルを使用することで肉体に戻すこともできる。デス・ウォード呪文に保護された犠牲者は《魂捕獲》に対して完全耐性を得ないが、頑健セーヴィング・スローに+5ボーナスを得る。負のエネルギーに対する防護はレベル損傷に対して有効だ。

恐怖のオーラ/Fear Aura(超常):デミリッチは死と悪意からなる恐るべきオーラをまとっている。デミリッチを60フィート以内で見た5ヒット・ダイス未満のクリーチャーは、意志セーヴ(難易度19)に成功しなくては21レベル術者が発動したフィアー呪文の効果を受ける(訳注:恐慌状態から戦慄状態になる)。

麻痺の接触/Paralyzing Touch(超常):デミリッチに接触した生きているクリーチャーは頑健セーヴ(難易度36)を行わなくてはならず、さもなくば永久的に麻痺状態になる。リムーヴ・パラリシスや呪いを除去できる呪文であれば犠牲者を解放することができる(ビストゥ・カース呪文参照)。この効果は解呪することができない。デミリッチに麻痺状態にされると死亡状態であるように見えるが、〈視認〉判定(難易度20)か〈聞き耳〉判定(難易度15)に成功することで犠牲者が生きていることがわかる。

呪文:デミリッチはリッチとして発動することができるいずれの呪文でも発動することができる。サンプル・デミリッチは21レベルのウィザードだった(1日の呪文:4/12/8/7/7/7/7/6/6/6/3)。最後の3スロットは10レベル・スロットであり、0-9レベル呪文について呪文修正して使用することができる。

完全自動呪文動作省略/Perfect Automatic Still Spell(変則):デミリッチは知っているすべての呪文を動作不要で発動することができる。

疑似呪文能力
 無限回:

  • オルター・セルフ
  • アストラル・プロジェクション
  • クリエイト・グレーター・アンデッド
  • クリエイト・アンデッド
  • デス・ネル
  • エナーヴェイション
  • グレーター・ディスペリング
  • ハーム(通常は自身の回復に使用する)
  • サモン・モンスターI-IX
  • テレキネシス
  • ウィアード

 1日2回:

  • グレータープレイナー・アライ

 デミリッチはこれらの能力を自身の術者レベルと等しいレベルとして使用するが、セーヴ難易度は10+HD+【魅】ボーナスだ。

魔法に対する完全耐性/Magic Immunity(変則):デミリッチは以下を除くすべての魔法と超常効果に対して完全耐性を得る。シャター呪文は結晶質のクリーチャーに影響を与えるようにデミリッチに影響を与えるが、通常に示されたダメージの半分になる。ディスペル・イーヴル呪文は3d6ポイントのダメージを与える(頑健・半減)。ホーリィ・スマイト呪文はデミリッチに通常に影響を与える。

経箱転送/Phylactery Transference(超常):デミリッチと経箱の置かれている場所がどれほど離れているにもかかわらず、経箱の近くに置かれたヘッドバンド、ベルト、リング、クローク、他の着用型アイテム等の利益を得ることができる。標準的なアイテム装備制限数は残る。

アンデッドの特性/Undead Traits:毒、睡眠、麻痺、朦朧、病気、[即死]効果、死霊術効果、[精神作用]効果、物体に影響を与えない頑健セーヴを要する効果に対する完全耐性。クリティカル・ヒット、 非致傷ダメージ、能力値ダメージ、能力値吸収、生命力吸収の対象とならない。負のエネルギーによる治癒。大規模ダメージによる即死の危険はないが、ヒット・ポイントが0以下に低下すると破壊される。暗視60フィート。蘇生不能;リザレクションはクリーチャーが望むのであれば機能する。

完全耐性/Immunities(変則):デミリッチは冷気、電気、ポリモーフ、[精神作用]攻撃に対して完全耐性を得る。

結末 Conclusion

 もしPCが究極化を止められないなら、アサーラックは神格の如きパワーを得る。任意の世界の任意の拠点に座す、いずれのヴァンパイアやリッチ、どんな強力なアンデッドであっても、アサーラックの手を逃れる者はほとんどいない。当初、彼は一度に1体のアンデッド・クリーチャーに宿れるだけだが、時間が経つにつれて複数のアンデッドを同時に制御することができるだろう。おそらく、新たな存在は純粋悪の多次元帝国を介して、すべての世界を支配しようとするだろう。もしくは、彼は多次元世界の成長と変化を観察し、何百もの世界から知識を吸い上げるだけで満足するかもしれない。こういった予想は簡単に書き記すことができない。失敗の結果として、PCが生き残るためにはアサーラックの“要塞”から早々に逃げ出すしかないとだけ伝えれば十分だろう。“要塞”はそこに残る。そしてアサーラックは間違いなく、それを利用し続けるだろう。このような場合、物語経験点を与えるのは相応しくない。

 もしPCがデミリッチ頭蓋骨を破壊しても経箱を破壊しないなら、アサーラックの脅威は終わらない。しかしながら、アサーラックは愚かではない;PCが彼の予想を上回って強敵であることを認め、彼はエッセンスを第31区画に送って逃走する。PCが彼を追尾しないなら、アサーラックは“要塞”を出るときにリング・オヴ・ネガティヴ・エレメンタル・マスタリーを手にする(デミリッチであった時にリングを使用する必要は感じなかったが、愛着はあるため)。彼は最初の“墓所”が建設された世界から遠く離れた物質界まで逃げる。そこで彼は振り出しに戻り、忌まわしい計画を再開する。PCは彼を一時的退避させることで追加25000経験点を得る;しかしながら、彼女らはアサーラックの暗躍は続き、いつの日にか帰還するという予感を持っている。

 もしPCが物理的に経箱を破壊するなら、次の枠付きテキストを読むか、あるいは言い替えろ:

 あなたが最後の一撃を加えると、ガラスの砕ける音と共に、クリスタルの表面に劇的なひび割れが走った。切子面を埋めていた亡霊たちが金切り声を上げるが、その声も周囲から沸き起こったかのように思える、より甲高い叫び声にかき消された。それはアサーラックの悲鳴で、今わの際の絶叫だった。「やめろおおぉぉぉ!!!!!!」宝石の崩壊は続き、君の目の前でクリスタルの破片が雨のように黒い縁に降り注ぐ。切子面が虚空に消えるとともに、そのうちに捕らわれていた光も消え失せ、最後の破片が消えるころには、アサーラックの断末魔の絶叫も消えて静寂が戻った。


 アサーラックが破壊されたなら彼の計画はすべて無に帰す。彼の制御下にあったアンデッドとタナーリは強迫観念から脱する。制御の知性がいないかぎり“終末の要塞”は徐々に(1年ほどで)負のエネルギー界と融合する。“陽を待つ都市”はアサーラックの魔法がないと維持できず、廃墟となって最終的に崩壊する。最初の“墓所”の管理と罠を維持してきたタナーリは任務を解除され、建築全体から徐々に致死性が失われていく。“髑髏都市”の住民は直近の“墓所”からの影響が消滅したことに気付く。もはや彼らの魔法は強化されず、闇の技に関しても夢の中で闇の示唆が得られなくなる。やがて求心力を失った都市は見捨てられる。

 不幸なことに、経箱の破壊により集積された魂はすべて負のエネルギー界に送られ、それらは抹消される。この場合、パラディンとプリースト、善属性の神格と強い関係を持つPCには審問や破門の可能性がある;PCが善の立場に復帰しようとするならクエストを果たす必要があるかもしれない。どうであれ、このように失われた魂は、その精神の強弱に応じたアンデッド・クリーチャーとなり、PC自身の主物質界に対して侵入するかもしれない。将来的に、DMはランダムなスペクターやゴーストを、PCが無防備な瞬間に不意の訪問をさせても良いだろう。そういったアンデッドはPCの拠点を探し出し、誓約に対する不正を訴え、PCの行動の結果による自身のみじめな境遇について報復するだろう。

 それにもかかわらず、PCには経箱を破壊してアサーラックの悪意を挫いたことにより75000経験点を得る。

 もしPCが経箱に太陽光を当てようとするなら、以下の枠付きテキストを読むか言い替えろ:

 日光が経箱を洗う。突然、クリスタルから部屋のドームに向けて金色の光束がほとばしり、石の屋根を突き破って外部に放たれる。亡霊たちが光に沿って束となって飛び出し、闇の彼方へと飛び去る。たった2拍ほどの間で魂はすべて去る。金色の光束がきらめいて消え去り、周囲から消えそうな声が聞こえてくる。アサーラックの声だ! それは切れ切れに話す。「私は去る…、今のところは。」声はささやきのように細くなり、やがて何も聞こえなくなる。あなたが気付かぬ間に決着が付いたのだ;アサーラックの精神は四散した!


 魂を解放することで、アサーラックのエッセンス、つまり彼の意識は分断され、千年に渡る認識も闇の中に四散する。上記のように、経箱を物理的に破壊することで、アサーラックのすべての計画は破壊される。彼の使徒は解放される。そして彼の魔法とタナーリの働きによって維持されてきた箇所は崩壊していく……やがて。

 アサーラックのエッセンスはこのシナリオ中では完全に破壊することはできない。それは未だに残留している。そして時が満ちるにつれ、四散した断片は彼の邪悪な意志の下に集まり、やがてひとつの意識として結集するだろう。そうなったなら、そのクリーチャーがそれを忘れ去るか、より悪辣な計画を思いつかない限り、歪んだ目的を達成しようとするだろう。それが起こるためにどれほどの時間が必要かはわからない。しかしそれが必要な時間は膨大であることは疑いない(DMの判断)。

 しかしながら、結果として短期間大いなる闇を押し返しただけとはいえ、2000以上の無辜の精神を破滅から救ったことは忘れてはならない。 デミリッチの精神に究極の断罪を与えられなかったことよりも、不安におののく魂を解放してやれたことは喜ばしいことだ。善属性のPCは、アサーラックを四散させ、彼の計画を砕き、経箱に捕らわれた魂を解放し、個々の属性に照らし合わせて平安を与えることができたということから、この任務達成に10000経験点を得る。

 非常に強力で、決意が硬く、幸運に恵まれたパーティは、アサーラックを破壊した後に経箱に捕らわれた魂を解放かもしれない。そうするためパーティーは、第30区画のデミリッチ頭蓋骨を含めて“終末の要塞”内すべてのアンデッド・クリーチャーを破壊しておかなくてはならない(第26区画の失敗作も含む)。もしアサーラックが第31区画のメイルシュトローム・ゲートで逃げ出す前にすべてのアンデッド・クリーチャーが破壊されたなら、デミリッチは肉体を失ったままに経箱に撤退しなくてはならない(彼は時機を見るため積極的にそうする)。パーティーは経箱から精神を解放した後に経箱を破壊することができる。このように並外れた殊勲を上げたパーティーは250000経験点を受け取るべきだ。



 これにて『恐怖の墓所、再び』を終える。作者はあなたとあなたのプレイヤーたちが、これを楽しみ、挑戦を求め、そしてそこに価値を見いだすことを望む。

“終末の要塞” Fortress of Conclusion 『31 アサーラックの撤退 Acererak's Retreat』

 この部屋の中央に置かれた腰掛けには通常ウィンターワイトが置かれている。もしPCが経箱の魂を解放するか経箱を破壊したなら、このクリーチャーは稼動しない。もしPCが第30区画でデミリッチ頭蓋骨の物理的外殻を破壊することに成功したなら、ウィンターワイトはアサーラックの制御下となり、壁龕のメイルシュトローム・ゲートを通過する乗物として使用される;そのような場合、以下の[枠内文書]を読むな。もしPCが経箱問題を解決せずにこの部屋に突入するなら、アサーラックは即座に侵入に気づき、腰掛けのウィンターワイトに精神を転移する。このような場合、彼はPCを経箱の部屋に押し返そうとする。

 短く幅広な通路が小部屋の角に繋がっている。部屋の壁は寒々として飾り気のない青白い石製で、まだら模様の赤茶色の汚れで覆われている。天井からは短めの鉄の鎖でランプがひとつ提げられている;その真下には簡素な石製の腰掛けが置かれている。[腰掛けの上には、氷で覆われ、頭部から黒い炎を上げる骸骨が座っている。]ランプからは部屋の隅々まで届く、強い金色の光が放たれている。飾り立てられた鍛鉄製の脚組の上に、四角く切り出された大理石の天板が据えられており、様々なアイテムが陳列されている。テーブルの左側には、秘術のシンボルとグリフが彫刻された、大きな鉄の収納箱が置かれている。収納箱の上の壁には、いかめしい顔のマスクが掛けられている。大理石の置き台の反対側の壁には、四角い壁龕が掘られており、虹色の流れるタペストリーが掛けられているように見える。


 この部屋は特に貴重な、また重要な、はたまた便利なアイテムをしまうためのもので、そこには緊急用に使用される最後のウィンターワイトも含まれている。もしアサーラックの置かれた状況が絶望的であることが判断するなら、彼はウィンターワイトに乗って壁龕の中に固定された虹色のメイルシュトローム・ゲートを通り抜けようとする。

 メイルシュトローム・ゲートは永続的な魔法効果で、大理石のテーブルの右に設けられた石の壁龕に固定されている。それは垂直に立ち上がった渦巻く水面のようで、油膜のようにゆらめく虹色の輝きを放っている。次元界に精通した者はこれを見て、エーテル界と深エーテル界の境界面を思い起こすだろう。しかしながら、メイルシュトローム・ゲートを介しての旅は不確かなものだ;色のとばりを通過したすべては完全にランダムな世界や疑似次元界に送られてしまう。さらに、メイルシュトローム・ゲートは対象を生きたままで送らない。そのため生きている存在は到着した時点で生命を失う。アサーラックに関する限り、これは問題にならない。

 もしPCが第21、22区画のポータルで誤って瞬間移動したなら、彼らのアイテムはこの小テーブルの前に山積みされている。大理石の天板の置台の上には、パーティが興味を持つだろう有力なアイテムが並んでいる。PCにとって最も実用的なアイテムは、ファントム・フレイヤーの小像の形をした銀の笛だ; PCがこれを使うことで“要塞”からの移動に使うファントム・フレイヤーに命令を与えることができる(“要塞”からの帰還の最大の障害だ)。笛の他には、テーブル上にはデヴァラスズ・リング・オヴ・ネガティヴ・エレメンタル・マスタリー、クリスタル・ボール・ウィズ・ESP、イルラック・ストーン、ブローチ・オヴ・アクセスが置かれている。第30区画の戦いにタルンヘムが加わらなかったなら、バロールのウィップもまたテーブル上にきつく巻かれて置かれている。

 テーブルの左側の壁に掛かっているマスクは“貪る者”の象徴を形にしたものだ。このマスクはマスク・オヴ・ザ・ディヴァウアーと呼ばれ、アサーラックによって作られた強力な魔法のアイテムだ。

 マスクの下の床に置かれている鉄製の収納箱は一辺3フィートの立方体だ。それは蓋が閉まって施錠されているが、鍵穴には銅製の鍵が刺さっている。収納箱はその中身と合わせてざっと1/4トン(約550ポンド)あり、容易には動かせないことがわかる。収納箱の鍵を開けて開放するなら、中には山のような戦利品が詰まっている。まず目に付くのは結晶質の財宝だ:

  • 様々な種類の宝石64粒(それぞれ150gp)
  • 単体のサファイアを削り出した、後足で立ち上がる雄馬を模した6インチの彫像(10000gp相当)
  • 自然光を受けると切子面から息をのむ炎のような光を放つ、こぶし大のルビー(23000gp相当)
  • エメラルドを削り出した、歩み寄る豹を模した8インチの彫像(46000gp相当)

 収納箱内で次に目に入るのは、複雑かつ整備な刻印の施された、未使用の希少な古代の金貨だ。金貨は合計で7433枚ある。このようなアイテムの知識を持つ収集家であれば、通常の10倍の価値を認めるだろう。
最後に、収納箱には多数の魔法のアイテムが含まれている:

  • デキャンター・オヴ・エンドレス・ウォーター1つ
  • ダスト・オヴ・トレイスレスネス(13回分)のポーチ1つ
  • ガントレッツ・オヴ・スウィミング・アンド・クライミング1双
  • ハット・オヴ・ディスガイス(現代のトルコ帽形)1つ
  • ヒューワーズ・ハンディ・ハヴァサック1つ
  • アイウーン・ストーン(きらめく青・球体、またはDMの選択)1つ
  • アイウーン・ストーン(脈動する紫色・三角柱、またはDMの選択)1つ
  • アイウーン・ストーン(緋色と青・球体、またはDMの選択)1つ
  • アイウーン・ストーン(桃色と緑色・球体、またはDMの選択)1つ
  • パール・オヴ・パワー(2レベル呪文、またはDMの選択)1つ

 ハンディ・ハヴァサックの中にはルーンが刻印された1対のドラゴンスレイヤー・ロングソード+2(真竜に対して+4)が見つかる。1本には“影/Umbra”が刻印され、ブラック・ドラゴンを率先して倒そうとする。もう1本は“紅/Incarnadine”が刻印され、レッド・ドラゴンを率先して倒そうとする。これらのソードにはDMの判断で追加パワーや“知性”を与えてもよい。

“終末の要塞” Fortress of Conclusion 『30 究極化の経箱 The Phylactery of The Apotheosis』

 大きなドーム型をした部屋の天辺には、赤いクリスタルが狂気の魔眼のように輝いて下を照らしている。深紅の光は明らかに多面体のクリスタルから発せられている。部屋の中央に鎮座するそれは干し草の山のように大きい。クリスタルの切子面には断続的にエメラルドグリーンの薄光がひらめき、壁に映る赤に不吉な極彩色を沿えている。苦悶の表情を浮かべた無言の亡霊の顔が、切子面に映っては消える。巨大なクリスタルは黒い金属製の三脚の上に置かれ、その高さは人の背より高い。床には宝石よりも大きな大穴が開いている。この穴は、冷たく絶対の暗黒の亀裂の上に開いている。


 もしPCがこの部屋に達するなら、彼女らは差し当たって罠やウィンターワイト、ネガティヴ・エナージィ・エレメンタル、タナーリ等との遭遇の心配はない。不幸なことに、この長い冒険におけるすべての試練と苦難を乗り越えてきたPCは、自身らが“最後の報酬”にふさわしいだけの胆力を持ち合わせていると証明した。それはアサーラックの究極化を始めるための触媒となる魂の証明である。

 キャラクターが全員この部屋に入って1ラウンド、石と骨をすり合わたような声が聞こえてくる:

 「貴公らは危険要因と脅威を押し通り、文武に対する卓越した挑戦を退けてここまで来た。この旅は熾烈だったが、貴公らはすべての試練を打ち負かした。貴公らの魂は浄化され、鍛え上げられた。我が面前に立つ貴公らの精神を目にしたなら輝かんばかりだろう。我はそのような魂を求めていたのだ;貴公らがそれを最終触媒として提供してくれたなら、我は負のエネルギー界との合一を果たすだろう! さあ、究極化を始めよう!」


 そうしてドームの上部から赤い光が降りてくる。それは人型生物の頭蓋骨に嵌められた宝石の片眼から放たれていた;その宝石で飾られた頭蓋骨は不安になるほど、最初の“墓所”の第33区画で目撃した、魂を吸収するデミリッチに似ていた。

 PCが経箱の部屋に入った時点で、アサーラックは即座に侵入に気付く。デミリッチは彼の精神を、部屋の上部を常時浮揚して宝石の片眼から激しい光を放ち続ける“第二デミリッチ”に移動させる。アサーラックの精神がこの頭蓋骨に宿ると、最初の“墓所”の第33区画で確認された最初の頭蓋骨と同じように機能を開始する。しかしながら、ここでのアサーラックは積極的に動く;彼は少なくとも3つの魂を吸収しようとする;頭蓋骨の眼窩に嵌ったルビー(それぞれ50000gp相当の価値)のそれぞれ、下顎の歯列に嵌った6つのマーキス・カット・ダイアモンド(それぞれ5000gp相当の価値)の1つにだ。もしバロールのタルンヘムが生きているなら、アサーラックは彼をデミリッチがPCの魂を吸収するすきを作らせるため、鞭と(第31区画の)刃を装備させて警護役として配置する。さもなければ、アサーラックはパーティーに対峙するのを手伝わせるため、タルンヘムをここに呼び寄せる。

 魂を吸収するため、アサーラックは犠牲者から20フィート以内に位置しなくてはならない(通常は頭上でホバリングする)。彼は膨大な経験から、パーティ・メンバーの中でも最強の者を狙う。彼は即座に犠牲者の魂を吸収して頭蓋骨右眼窩の宝石に捕らえる;犠牲者の肉体はたちまち腐敗して崩壊する - 1ラウンド後には崩れ去って塵と化す。デミリッチは2ラウンドを魂吸収に集中すると、以降は3ラウンドに1回ずつ魂を吸収する。彼が3つ目の魂を吸収するとともに、彼は残ったPCを無視して(“目撃者として取っておくため”)究極化(以下参照)を開始する。

 PCは最初の“墓所”で発見したデミリッチの頭蓋骨とほとんど同じの、恐るべきパワーを発揮する頭蓋骨との直接戦闘を選択しなくてはならない。

 もし頭蓋骨が究極化を開始する前に破壊されるなら、宝石を観察することで内部に捕らわれた魂を確認できるため、宝石を砕くことで精神を解放することができる。精神は10フィート以内の肉体(たとえば近くに倒れている遺体)に入り込む;さもなければ、魂は負の物質界に開いた穴めがけて吸い込まれてしまう;もがく精神は苦悶の叫び声をあげながら消失する。このような精神は永久に失われる。主物質界で解放された精神は、“休息”のためその属性に応じた外方次元界を目指して飛び去る。もしPCが宝石に吸収されたなら、キャラクターの肉体の残骸のそばに宝石を置き、リザレクション呪文を発動することで回復することができる。


登場モンスター アサーラック:デミリッチ形態


経箱 The Phylactery
 究極化への鍵は、この巨大な宝石の形をした経箱だ。そのクリスタルの内部に閉じ込められた絶望に発狂した魂は臨海数に達している(2692体分)。この臨界状態は負のエネルギー界の持つ平衡状態を乱し、“陽を待つ都市”を経由して、アサーラックの最初の“墓所”周囲の主物質界に浸闇症状を起こしている。ここに触媒として試練で浄化された魂を3つ(これはPCだ)投入することで究極化は始まる;これらの魂はアサーラック自身を負のエネルギー界のエッセンスの中に没入させ、彼の精神を認証させるために燃やす“燃料”だ(究極化参照)。

 経箱のクリスタルに素手で触れることは死を意味する;違反者の魂はセーヴィング・スローなしでクリスタルに吸収され、その肉体はおそらくその下の虚空に落下して消え失せる。

 クリスタルの下の穴はまさにむき出しの負の物質だ。それに触れるか落下した者はただちに過酷な状況下に置かれる。がっしりした金属の棒で組まれた巨大な三脚が立ち、直径20フィートはあるクリスタルをこの暗黒物質の上で支えている。

 もしPCが三脚の少なくとも2本を破壊したなら、クリスタルの経箱は闇の中に落下して永久に失われる。それはPCが経箱自体を物理的に破壊したのと同じ影響を与える(以下参照)。それぞれの脚はAC0で66ヒット・ポイントを持つ(訳注:このACはAD&Dのものである)。それは打撃武器か魔法の[電撃]か[酸]か分解効果が有効だ。呪文ならライトニング・ボルト、メルフズ・アシッド・アローは通常にダメージを与え、三脚がセーヴィング・スローで12以上をロールしたなら半減ダメージを与える。ディスインテグレイト呪文は1本の脚を破壊する。打撃武器の一撃は通常にダメージを与える。-25%の「棒曲げ」判定に成功したなら、1本の脚を破壊する。この鉄の三脚は、ラスト・モンスターやブラック・プディング接触といった他の攻撃に対して無敵だ。

 経箱そのものを物理的に破壊するためには、+4以上の魔法の武器(シャープネス武器やヴォーパル武器も有効だ)で100ポイント以上のダメージを与える必要がある。経箱のACは8だ。経箱に対する魔法的効果や呪文(テレポート含む)は、太陽光を再現する効果以外は吸収されて無効化される(以下参照)。

 クリスタルを物理的に破壊するなら、アサーラックの魂は真に完全に破壊され、彼の脅威は永久に終わる。しかしながら、これは捕らわれた2000以上の魂が負のエネルギー界に吸収されて破滅させることを意味する。アサーラックを完全に破壊するため経箱を破壊しようとクリスタルに一撃を加えようとしたPCは、切子面に浮かび上がる怯える面々と向き合うことになる。彼らは叫ぶ。「アサーラックの経箱を破壊したら我々は破滅してしまう! 我々の精神は永久に虚無に呑み込まれてしまう!」

 同時に他の叫びも響く。「我々を解放してくれ! 我々を自由にしてくれ!」これを聞いたPCには追加の知識が与えられる。経箱から魂を解放することは、アサーラックのエッセンスも四散することになる…。そしてそれは彼を殺すこともできなくなる。これはPCに与えられた課題だ:経箱を破壊すればアサーラックの脅威は永久に終わりを告げるが、捕らわれた魂にも永劫の罰が下される。魂を解放すればアサーラックは衰退するだろうが、いつの日にか彼は再来し、同じような悪しき企みを再開するだろう。

 PCが魂を解放することを選択したならこのような叫びが聞こえてくる。「どうやってやるんだ?」 いずれにしても、PCに最も近い切子面に若い少女の顔が浮かび上がる。彼女は言う。「ただ、太陽の光のみが私たちの道を開くでしょう;それは私たちを平安にいざなうでしょう」 この年若い少女の精神を見て、PCは“髑髏都市”のE出入口で出会った狂える死霊術師デニーレより聞き知った話を思い出すかもしれない。サンレイ呪文、ワンド・オヴ・イルミネーションからのサンバースト効果、PCが“陽を待つ都市”で拾えるワンド・オヴ・デイズ、その他陽光に関連する魔法のアイテム、言い回しを吟味したウィッシュ呪文(経箱に陽光を照らせなど)等であるなら、人々の魂は安全に“死後の安寧”に向かい、そして当面のところアサーラックのエッセンスも四散する。


究極化 The Apotheosis

 現在、アサーラックは彼の制御精神を要塞内の任意のアンデッド・クリーチャーに転移させることができる。もし彼の究極化が成功したなら、アサーラックは制御精神を任意の世界や次元界に存在する任意のアンデッド・クリーチャーに転移させることが可能になる。アサーラックはある意味、彼の意識を持つ負のエネルギー界そのものになる。その結果、虚無の力を以て動くすべてのクリーチャーは、かつてのデミリッチの完璧かつ完全な支配下に入るだろう。アサーラックの邪悪な能力は境界線がなくなり、彼は野放図となるだろう;彼が住み着いたアンデッド体の破壊は可能だが、近くにあるかはたまた別の次元界にある別のアンデッドに転移するだけだろう。言葉を完璧に吟味したウィッシュ呪文であっても、完璧に負の物質界と合一したアサーラックの本質を分離するのは不十分だろう。

 もし究極化が始まったなら、以下の枠内文書を読むか言い換えろ:

 忌まわしい頭蓋骨は巨大な宝石の10フィート上方に飛び下がる。クリスタルから頭蓋骨に向け、深いエメラルドの光束が炸裂し、それは光に包まれる。頭蓋骨の顎が激しく動き、部屋中にけたたましい、不浄な、激しい狂気のような、歓喜の雄たけびが響き渡る。経箱の切子面に浮かぶ様々な顔は苦悶に歪み、その悲鳴が轟く。それは頭蓋骨の発する雄たけびと混じり合い、激しい不協和音となる。


 上記の説明は究極化の開始を意味する。この時点で頭蓋骨を破壊しても意味はない;経箱の破壊のみが認証を止めることができる。もし止められないなら、究極化は開始から10ラウンドで完了する。この時点で、頭蓋骨は集められた魂の発するエメラルドの光芒を受けて塵と化し、アサーラックと負のエネルギー界は分かちがたく結合される。クリスタルの底から緑の光芒が放たれ、経箱下方の暗黒の穴に向けて消え去る。この後、クリスタルの内部は完璧な闇と化す;魂は消費されて失われる。本文末尾の結末にある、さまざまな結論と影響を参照しろ。