『ヴォル・ラカス;冒険場所としての古の廃墟』の冒頭文

 『ヴォル・ラカス;古の廃墟』は、かつてバエル・トゥラス帝国に属していたが、今では崩壊した廃墟と化したティーフリングの大都市を探求するDM向けの書である。本来は密着型冒険群を提出するつもりであったが、それよりも現在の冒険やキャンペーンに自由に取り入れることができる多数の地域やフックを提供することにしたのだ。


 『ヴォル・ラカス』を利用することで、あなたはキャンペーンを組み立てるか、あるいは一連のショート・アドヴェンチャーやちょっとしたクエストを提供することができる。キャラクターはヴォル・ラカスを訪れ、失われた知識や貴重なアイテム、古代の魔法を捜索するかもしれない。ここに記された多くのクエストとフックは、廃墟の内部や周辺における冒険のきっかけとなるかもしれない。 例えば、裕福な後援者があるアイテムを入手するために冒険者を都市に送り込むかもしれない。しかしレリックを奪還する過程で、彼女らはブラックウィップ奴隷商人とトラブルを起こすかもしれない。 彼女らが奴隷商人との関係を解決した後、解放された奴隷のひとりが、廃墟の探索に有益な情報の提供を申し出るかもしれない。


 『ヴォル・ラカス』は1レベルから15レベルまでのキャラクターに適している。 あなたが『プレイヤーズ・ハンドブック』、『モンスター・マニュアル』、そして『ダンジョン・マスターズ・ガイド』を所有していることを前提としている。 それ他の様々な本の参照を求めるが、しかしそれは必ずしも必要ではない。

背景 Background
 ヴォル・ラカスは、バエル・トゥラス帝国の宝石に数えられた都市の1つだった。 ここはしばしば〈鍛冶の都市 City of Forges〉と呼ばれ、皇帝の妹である、ヒューマンのレイディ・ナジャーラ(ナジャーラ女公爵)によって統治されていた。 アーコシアのドラゴンボーン帝国との長く陰惨な戦いの末、バエル・トゥラスの強力なヒューマンたち ‐ 貴族、裕福な商人、呪文使い、僧侶 ‐ は、邪悪な契約を通じて忌まわしい形質転換を経験した。 デヴィルに宣誓をし、そして最初のティーフリングとなった最初の人々の中にレイディ・ナジャーラがいた。 彼女の誓約の結果、彼女の力と影響力がいや増すのを観て、ヴォル・ラカスの貴族の多くは彼女に続いた。


 アーコシアの脅威が差し迫るにつれ、レイディ・ナジャーラは疑心暗鬼に陥り、反逆者を求めてヴォル・ラカス内部の捜索を始めた。 彼女は地獄の誓約を拒んだ貴族を追放した。彼らこそが反逆者であると信じ込んだからだ。そして彼女は強固な支配を築くため、地獄へのゲートを建立した。 究極的には、それが彼女の破滅の原因だった。ドラゴンボーンの軍勢が都市に近づいたとき、絶望した彼女は支援を求めてポータルを開け放った。 後に〈デヴィルの日 Day of Devils〉として知られるその日、フィーンドの大群が九層地獄から解き放たれた。 彼らはヴォル・ラカス周辺のドラゴンボーン軍団を追い払った。彼らはまた、ヴォル・ラカスの何千人もの住民も虐殺した。 ナジャーラの勝利は苦いものだった。都市は崩壊し、もはや廃墟でしかなかったからだ。


 この冒頭文を読むに、バエル・トゥラス帝国は単なる“ティーフリングの帝国”ではなく、“ティーフリングを生み出した帝国”というべきのようで。ティーフリングが建国したわけではないからね。


Vor Rukoth: An Ancient Ruins Adventure Site for D&D (4th Edition D&D)

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