ダンジョン・デルヴ:序文

 最初にダンジョン・デルヴが姿を現したのは、1998年のジェンコン GenCon の時だ。それはD&Dの存在を参加者に示すため、デザイナー陣が自ら考え、組み立て、そして運用したもので、我々が多年に渡って楽しんできた実演プレイを一歩ないしは数歩推し進めたようなものだった。この新しく刺激的な構成は、ゲームのなんたるかを知ってはいるが、週末の時間を取れない面々が考え出したものだ。


 いろいろな意味で、最初のダンジョン・デルヴはかなり単純なものだった。だが木曜日に週末セッションの予定が決まるとともに、脳内では大まかな要点が描かれた。用意されたのは手描きのマップ、適当なメタル・フィギュア、ダンジョン攻略状況を書き出すための大きな掲示板しかなく、それは十全な環境とはいえなかった。我々はデルヴが終わると、MVPキャラクターやKIAキャラクターのリストを発表したりした。


 ファンはそれを喜んだ。我々は毎週末にデルヴを行なった。彼らはプレイヤーに空きがある卓に入るために列を作った。彼らはモンテ・クックやブルース・コーデル、エド・スターク(もしくは別のデザイナー)がどれくらい多くのPCを殺すかを目撃するためにも列を作った。そうしてデルヴのなんたるかが浸透していった。彼らは掲示板に張り出される次のダンジョンの情報を、そこで使われるキャラクターを見るために列を作った。彼らはどこまで進めたか? 彼らは何体を倒したのか? 誰が最終戦闘を突破できたのか?


 それこそがD&Dだ。それはウィザーズのブースで起きた、ちょっとした奇跡だった。


 数年間かけて、我々はルール、プレイ場所、必要な熟練の志願者をそろえ、イベントを開いた。その時点でRPGAはRPGAホールでダンジョン・デルヴ大会を開いていた。なぜならイベントを開く要望は非常に多かったからだ。我々は別の場所でデルヴを開始した。2008年、我々は販売店やゲーム・スポットで容易にプレイできる環境を整え、デルヴ・ナイトゲームを始めた。


 この書において、ダンジョン・デルヴの概念はD&Dのコア製品の中心に躍り出た。ここまで来るのは長かった。しかし我々は長い時間を使って試行錯誤し、新様式をテストし、ついにはこれを製品として成立させた。これにはD&Dゲームの進化が必要だった。

デルヴとはDMの訓練場だ Delve as DM Training Ground
 ダンジョンをマスタリングしたいが、冒険全体を廻すことがかったるくなったことはないか? 『ダンジョン・デルヴ』はそんな君のために作られているのだ! それぞれの遭遇群は短く、D&Dを容易に楽しむことができる。やるべきことはプレイするレベルを選択するだけ。あとは該当ページを開けば、君の準備は完了だ。


 デルヴの遭遇を廻すということは、完全な冒険やキャンペーンの要素、物語を伝える力、ロールプレイを運用する練習になるだろう。そうでなくても、遭遇は競争心 ‐ PC対DMといった ‐ を満たす、刺激的に体験となるだろう。




 向こうの人たちは、辻D&Dというか、かなりお気軽に冒険を楽しんでいるみたいね。
 卓のDMがプレロールドを作成したり、面倒なら“公式冒険者パーティー・セットA(6名)”みたいに用意してもいいね。DMは卓とミニチュア、マップを用意して待機しており、プレイヤーが4人以上そろったら冒険開始とかね。
 厳しい卓だと、遭遇レベルがやけに高かったり、環境縛りが合ったり、プレロールド・キャラの能力が互いにちぐはぐで連携が取れなかったりといろいろあるのだろう。
 ある種の競技会というか、デルヴは“DM対PLs”をむき出しにしてみせた遊び方なのかもしれない。


   


Dungeon Delve: A 4th Edition D&D Supplement (D&D Adventure)

Dungeon Delve: A 4th Edition D&D Supplement (D&D Adventure)