開戦

「さて、我々の軌道はどうかね。」
「はっ、我が艦隊はサイド２に対して相対速度毎秒○○kmで接近しております。現在は慣性航行中です。」
「ムンゾさんの艦隊だがな…。やはり出ているのかね。」
「長距離センシングでは確実なことはわかりませんが、３個艦隊は来ているようです。核攻撃と推定される閃光とガンマ線も検知しております。」
「信じられんな…。まさかコロニーに対して核攻撃とはね。」
「事実であります。」
「サイド６は中立が成立したようだが、サイド２は破壊か。」

「出ました。あちら側の艦隊ですね。艦影は３。質量から計測すると「ムサイ」と呼ばれる軽巡洋艦です。」
「例の、メガ粒子砲とやらを搭載しているという艦か。」
「はい、情報部によると最大射程40kmほど。有効射程は30kmですが、必中を期すのであれば20kmまでという話ですが。」
「我が方の有効射程の半分以下か。」
「はい。となりますと、おそらく敵艦隊は長距離ミサイルによるアウトレンジ攻撃に徹するものと考えられます。」
「たしか、タム・タイプの対艦ミサイルを搭載しているはずだな。」
「はい。各艦２発を搭載できます。つまり最大で６発。」
「となると、我々も１隻は轟沈する可能性があるというわけか。」
「艦長、やはりアウトレンジで勝負をつけますか。」
「だがな、中尉。参謀方は、まずは敵に撃たせろとおっしゃっておられる。」
「我々は的ということですか。」

「中尉、艦内無線な。」
「はい。」
「雑音が多いな。どうしたのだ？」
「はい、私も先ほどからチェックしていますが…。どうも帯磁が激しいようで。」
「ふうむ。」
「甲板長。」
「…は、艦長、いかがされましたか。」
「見ての通り艦内無線の雑音が増えている。防磁システムが不調なようだ。原因を調べてくれ。」
「は、わかりました。」

「大尉、艦載機隊はどうか。」
「万全です。いつでも離艦できます。」