〈混沌の痕〉 The Chaos Scar ダンジョン誌#171の環境設定 20091007


荒廃した渓谷の冒険 Adventures in the Ruined Valley
  はるか昔、世界を隔てる空隙を進む暗黒のパワーがあった。それは出会う世界に様々な破壊を引き起こしていった。それは多くの世界に無数の戦争を引き起こした後、破壊すべき新たな世界を見いだした。それは墜落し、地面の奥深くに埋没した。後には渓谷大の畝が残された。定命者の理解範囲を大きく超えた領域でそれは悪の種子を播種し、そして周辺を変質させていった。
  〈混沌の痕〉とは、はるか昔に落下した巨大隕石が残した長く幅広い渓谷である。巨大な隕石が上空を通過した時、ミルクは凝固し、多くの家畜は死に、ありとあらゆる不幸な出来事が起きた。隕石は耳をつんざくような轟音を上げて地面に衝突した。そして一週間にも渡り灼熱の炎が上がり続けた。その後、それはようやくにして沈静化した。
  隕石は文明社会と未開の地の中間点に大きな傷跡を残した。かつては原生林と沼地に挟まれた小さな丘は今では渓谷だった ‐ 人はそこを〈混沌の痕〉と呼んだ。
  〈混沌の痕〉の全長は1マイル以上、深さは数百フィートに達した。それは隕石が衝突した時に放射された莫大なエネルギーの名残だった。それが地面を掠めたとき、隕石の外殻部分は剥離して四散したが、心臓部は地中に埋没した。そして、それはそこから招命を送った。数世紀を経る内に、悪しき魂を持つクリーチャーが招命に応えた。隕石にひそむ暗黒の知性は、それらが互い殺しあうようにとけしかけた。弱者は殺されるか隕石の影響圏外に追い出された。そして強く残忍な者は、序列の頂上に上り詰めた。
  何年間にも渡る対立の末、渓谷を支配する一団が結成された。それは〈痕の同胞会〉と自称した。近くに位置する都市や国家は、彼らがベインの信者であると判じた。別の者は、彼らはゼヒーアないしはデーモン・プリンスの従僕であると判じた。〈会〉は隕石と一定の線で相互理解に成功したものと考えられた。なぜなら、〈混沌の痕〉のモンスターは依然として対立していたが、〈同胞会〉は攻撃の対象とならなかったためである。〈同胞会〉は隕石の周りに城砦を建てた。そして他の〈痕〉の住民は、渓谷に無数に存在する洞窟に潜み、自分自身の縄張りを築き上げた。最弱の定住者は渓谷の外れを住居として選び、最強の定住者は渓谷の終端付近か、渓谷の上端にまで届きそうな要塞内に住み着いた。
  若干の都市が〈混沌の痕〉の脅威を封じ込めようとしたが、それはほとんど成功しなかった。もはや忘れられた王が、渓谷を塞ぐように壁を築き上げた。それは部分的に破壊され、門は開かれ、もはや警戒されていないものの、いまだ持ちこたえている。かつて渓谷を取り囲むように築かれていた塔も同様に廃墟と化した。いくつかの塔にはモンスターが住み着いた;他の塔は空っぽだ。
  〈混沌の痕〉に迷い込んだ者の大半は死亡した。そこは悪に満ちた場所で、自然洞窟と棲みついた怪物が掘りあげたトンネルでいっぱいだった。渓谷の奥深くまで進む者は、洞窟とくぼみに致命的な敵が潜んでいることを知るだろう。〈痕〉の中には環状石柱、奇怪な塔、グロテスクな小屋、異界的な特色などの奇妙な景観が出現し、生み出された。渓谷の終端には、常に暴風と雷雲、稲妻を頂く神秘的な要塞、〈痕の同胞会〉の根拠地であるハロウゴーント要塞が築かれていた。
  多くの冒険者が〈混沌の痕〉に進入した。そしてほとんどが戻らなかった。そこでは以前と異なり、怪物同士が協調し合う忌まわしい物語が聞かれた。一方、モンスターが互いに敵対しているという話も聞こえてきた。〈混沌の痕〉にようこそ。



〈混沌の痕〉キャンペーンの運用 Running a Chaos Scar Campaign
  もしあなたがユニークかつひねくれたキャンペーンを回したいなら、〈混沌の痕〉キャンペーンはあなたに最適だ。それぞれの〈混沌の痕〉冒険は最小限の準備で回すことが出来るように作られている。
  我々は毎月〈混沌の痕〉渓谷のマップを更新し、新たな洞窟の場所とダンジョンの詳細を明らかにする。渓谷の奥に進むにつれ、レベルはより高くなり、相応して洞窟の脅威はより困難になるだろう。
  最初の何カ月か、我々は渓谷の外、もしくはユニークな場所を探検することになるだろう。
  〈混沌の痕〉渓谷はいかなるキャンペーン設定にも適合するように意図されている。そこは僻地であるが、必要要素ではない。
  絶対的なキャンペーン目的は決められていないが、渓谷の最奥に達して隕石の破壊で終了するだろう。
  あなたにはキャンペーンの目的を隠す理由が特にはない。もしあなたが目的や敵、あるいは全般的な予定を変更したいなら、それは容易に変更できる。
  最終的に、PCは自身の予定を自由に決定して良いだろう。このキャンペーンの目的の1つに、運用するDMの負担を減らすことがある。渓谷の洞窟が紹介されるとともに、PCは自身が次にどこを攻略するかを自由に決めて良い。多分、彼女らは渓谷のより奥の洞穴で運試しをしたがるだろう。そして彼女らは屈辱的な敗北を経験した後、より低いレベルの冒険に挑むだろう。遭遇や洞穴のレベルを上げたり、中身を変更することでビックリ箱を用意することに異論はないが、我々としてはそのような変更はお勧めしないと忠告する。〈混沌の痕〉の楽しみの一部には、プレイヤーは自身のレベルに適正な敵に遭遇することを知っていることが含まれているからだ。
  D&Dコミュニティにある『〈混沌の痕〉DM支援グループ』に入会しろ。もしあなたが〈混沌の痕〉冒険を寄稿したいなら、submissions@wizards.com にあなたの提案を送れ。



〈混沌の痕〉冒険集 Chaos Scar Adventures
  数字は冒険レベルを示している;右側の記号は渓谷マップにおける冒険の場所を示している。


  冒険の数は2010年3月6日現在で10個だ。これらはいずれも更新されるだろう。

1 A 泥がべっとり Stick in the Mud
1 B 奴隷商人の棲居 Den of the Slave-Takers
1 C 灰色兄弟 The Brothers Gray
1 D ハサミでばっさり Death in the Pincers
1 E 汚穢れた螺旋 The Tainted Spiral
1 F 失われた図書館 The Lost Library
1 G 偶然の遭遇 A Chance Encounter
2 H スライヴァーの呼び声 Sliver's Call
2 I ガラス塔森の祠 The Shrine of Glass-Spire Forest
2 J 分かれ道 The Crossroads