『指輪物語』の好きなシーン6

「…けれどようやく今になってわたくしはかれらに憐れみを覚えます。なぜと申せば、もしこれがエルダールたちのいうように本当に唯一の神が人間に与え給うた贈り物であるとすれば、受けるのは辛いことですから。」
「そう思えることだが、」と、かれはいった。「しかし、この最後の試練に敗れぬようにしよう。われらは昔暗闇と指輪を拒んだのではないか。悲しみのうちにわれらは行かねばならぬとしても、絶望して行くのではない。ご覧! われらはいつまでもこの世に縛られているのではない。そしてこの世を越えたところには思い出以上のものがあるのだ。ではごきげんよう!」