ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛
自宅にある父親から贈られたハードカバーの出版年代は1978年だった。9歳。
前作の感想は『ああ、こうだった』だが、今作の感想は『ええ、こんなんだっけ?』。
もともとペベンシー兄妹は華のない兄妹であるが、だからといってカスピアンを前面に押し出しすぎだろう。次回作も主役の一翼を張るのでイケメンを持ってきたのだろうが、なんか落ち着きがなくてウザイ。老カスピアンの役を誰がやるのかの方が気にかかるところだ。
ピーターもダメな面が描かれているが、その分エドマンドに安心感がある。次回作では主役の一翼なので、役割的に期待株。でもこいつ特にカスピアンと仲良くないなぁ。大丈夫か?
作中にカスピアンの葛藤と、ピーターとスーザンがナルニアに入れなくなる理由をわかりやすく織り込みたかったようだが、策士策に溺れると言うか蛇足というか、テレビでやるときはあの一連のシーンはカットしてくれ。邪魔だ。
だいたいこの筋書きでは、テルマール人がもとナルニア人を受け入れる素地がないだろう。テルマールの国民がミラーズを圧制者として嫌っており、カスピアンと古きよきナルニアを懐かしがっている描写が(たり)ない。もとナルニア人の襲撃後では、単に若い王が蛮族に懐柔されて入城したようにしか見えないぞ。
アスランによるテルマール人の解放パレードを見たかったよ…。
飢えとその仲間の描写は良かったかも。
前作は良作だったが、今作は駄作。7作目まで作れるんだろうな、ホントに?
なお、ナルニアを教条的であるなどと毛嫌いする向きもあるが、ナルニアを愛し、これを受け入れることができるのは無垢な心の時期にこれを読んだ者だけだと思う。
せいぜいが小学生程度までとか。ティーン・エイジャーになったらもはや受け入れることはできないのかもしれない(童話としては楽しめるのだろうが)。トトロを見ることができるのは子供だけみたいなもんかな。
とか、かつてはもちっとマシなクリーチャーだったんではないかと自嘲する化け物が愚考する。30年前か…。