クラウド Crowds:群衆の意

  人々で構成されるクラウドはしばしば大都市で発生する。しかしここで提供されるルールは、大洞窟にあふれる数百匹のゴブリンや暴走する動物、知覚力を持つ生命力あふれる森の下生えなどに適用される。
  通常のクラウドはPCに敵対的ではない。しかし彼らの存在は移動を極めて制限し、また範囲呪文の使用に関して新たな要素を加える。遭遇マップ上にクラウドを構成するすべてのメンバーを配置する必要はないが、戦闘が発生したり、PCが敵を追跡するためクラウドを通過する際には問題が発生する。そのような場合、遭遇マップ上にクラウドの存在する場所を示せ。もしクラウドが明らかに危険な何かを見たなら、それは毎ラウンドのイニシアチブ“0”の時点で30フィートだけ離れるように移動する。クラウドをユニットとして運用する詳細ルールについては下記のモブを参照しろ。
  クラウドへの指示 Directing a Crowd:難易度15の〈交渉〉判定か難易度20の〈威圧〉判定に成功することでクラウドを特定の方向に移動するように説得することができる。その際、クラウドはそれを試みているPCの動作や声を見るか聞くことが出来なくてはならない。〈交渉〉判定を行なうのであればそれは全ラウンド・アクションを必要とする。しかし〈威圧〉判定であるならフリー・アクションで行うことができる。
  もし2体以上のキャラクターが1つのクラウドを異なる方向に誘導しようとするなら、クラウドが誰の指示を受けるかについて対抗〈交渉〉判定か対抗〈威圧〉判定で決定する。もしキャラクターの判定結果がいずれも上記難易度に満たないなら、クラウドは指示をすべて無視する。


クラウド内の移動 Movement in a Crowd
  クラウドの中にいる人々は押し合い状態であり、しばしば肩と肩が触れ合っている。一般的なルールとして、1辺5フィートのマスを占める中型クラウドは中型クリーチャー3体が含まれている。この押し合い状態により、クラウドを通り抜けることは困難になる。クラウドを占めるマスを通過するには、2マス分の移動距離を必要とする。クラウドは誰に対しても遮蔽を提供するため、〈隠れ身〉判定を行うことができ、またACと反応セーヴにボーナスを与える。
  停止中のクラウドの占めるマスで移動を終えたキャラクターはクラウドと一緒に移動する以外は何をするのも難しいことに気付く。彼は攻撃ロール、反応セーヴィング・スロー、防具による判定ペナルティをこうむる全技能判定に−2ペナルティーをこうむり、さらにアーマー・クラスへの【敏捷力】ボーナスを失う。停止中のクラウドの占めるマスは呪文発動において“激しい揺れ”の環境と数えられる(難易度10の〈精神集中〉判定を必要とする。PHB168ページ)。
  クラウドの占めるマスで移動を終えたキャラクターは、ラウンド終了時に異なる危険に直面する。彼は立ち止まるために全ラウンド・アクションを必要とし、クラウドと一緒に移動するためにも全ラウンド・アクションを必要とするが、クラウドの動きに抵抗することも出来る。この方法でクラウドに抵抗しようとするキャラクターは難易度15の反応セーヴを行わなくてはならない。成功したなら、彼は停止中のクラウドによるペナルティはこうむり続けるものの、“非常に激しい揺れ”の環境下であるがアクションを行うことができる(呪文判定には難易度15の〈精神集中〉判定を必要とする)。失敗したなら、PCはそのラウンド中のすべてのアクションを失い、そして足払い攻撃を受ける。クラウドによる足払い攻撃の対抗判定は+8ボーナスである。もしキャラクターが打ち倒されて伏せ状態となった場合、彼は蹴散らし攻撃による2d6ポイントのダメージをこうむる。


雑踏 Traffic Flow
  雑踏とは道路や開けた場所におけるクラウドの特殊形態である。1ラウンド中に一定の速度で移動するクラウドは雑踏として判断される。
  道路の存在は雑踏を容易に作り出すが、それらを解消するのはより困難だ。とどのつまり、特に戦闘や追跡を行なう状況が発生したなら、これらの状況はキャラクターに重要な問題を引き起こすことになる。雑踏は以下の4種に大別される。

  • 散発的雑踏 Sporadic:散発的雑踏とは、軽雑踏から人通りなしの状態を現している。散発的雑踏は移動を妨げることはなく、人の流れの方向に反した移動をする場合でも反応セーヴを要求されることはない(大部分は明確な人の流れを持っていない)。
  • 軽雑踏 Lightly Crowded:広場などの開けた場所における雑踏がこの段階の典型である。軽雑踏内では遮蔽は得られず、同様に移動を妨げることはない。雑踏の流れに反して移動することは危険である。伏せ状態にされることを避ける反応セーヴの難易度は12である。もしキャラクターが雑踏を避けることに移動アクションを費やすのであれば、彼は反応セーヴに+4ボーナスを得る。セーヴィング・スローに失敗した結果与えられる効果とダメージについては重雑踏と同じである。
  • 重雑踏 Heavily Crowded:重雑踏とは道路にクラウドが満ちている状態である。しかしそれらはキャラクターが雑踏の流れに反して移動しない限り、移動を妨げるだけである。道路に満ちた重雑踏は別の危険を引き起こす ‐ 打ち倒されて踏み潰される可能性が生じるのだ。キャラクターが雑踏の流れに反して移動を試みるなら、伏せ状態になることを避けるために難易度15の反応セーヴに成功しなくてはならない。もしキャラクターが接近中の雑踏を避けるために移動アクションを費やすなら、彼はこの反応セーヴィング・スローに+4ボーナスを得る。キャラクターが伏せ状態になったなら、雑踏による蹴散らしにより伏せ状態でいる間は2d6ポイントの[殴打]ダメージをこうむる。たいていの場合、キャラクターがダメージを受け始めてから1d4ラウンド後には渋滞に変化する。
  • 渋滞雑踏 Jammed:渋滞雑踏は障害物などにより雑踏の動きが妨げられた場合に生ずる。密集した人や馬、二輪馬車、四輪馬車からなるクラウドの間をぬって移動することは非常に困難だ。渋滞雑踏は動きを封じられたクラウドにより成立する。