カムイ外伝

  『カムイ外伝 第二部』内の「スガルの島」より


  唖然呆然愕然


  私は映画を見るにあたって演技力に期待はしていない。
  演技力とは、俳優がその配役を演ずるにあたって、如何にその人になりきるか、その人となりを演ずることが出来るか、役を観客に伝えることが出来るかに尽きると思う。


  しかし、これは発信側の条件でしかない。
  仮に演技力抜群の役者が完璧にその役を演ずることが出来たとしても、受信側、すなわち観客がその情報を解釈できなければ、演技力の有無を判断することは出来ないのではないだろうか。
  私個人がある俳優を大根役者と判じたとしても、それは私個人の誤解、言ってしまえば『見る目がない』と言えるかもしれない。
  だから、俳優の演技力については触れない。


  まあ、マーク・ハミルキャリー・フィッシャーハリソン・フォードだって演技力抜群であったわけではないが、スターウォーズは受けたしね。




  で、まあ、件の映画であるが、話については問題なし。
  決戦に至る過程がいささか唐突であるが、あれくらいなら目を潰れる範囲。




  しかしね。CG全盛、というより大きめのセット以外はすべてCGで作られているようなのだが、この素人仕事は何とかなんねぇかな、おい!
  とりあえず、この映画でCG関連の仕事した奴は1ヶ月ばかり無人島で修行してこい。お前らは『現実世界』を知らな過ぎる。
  エンド・ロールの最後にご大層なスペースを割いて名前さらしている場合じゃないぞ。この映画はお前らの人生最大の汚点だ。


  この映画では、日本映画の“バカの一つ覚え”ワイヤー・アクションをCGで誤魔化す手法が多用されている。


  十歩譲ってワイヤー・アクションはいいだろう。安いし、低予算映画じゃどうしょもない。
  しかし、一旦脚力で上昇した体が、次は“明らかに”ワイヤーに吊られて角度を変えて上昇するのは不自然だと思わないか?
  忍びの超絶的跳躍力を再現したいならもっとうまくやれ。そしてCGはそれをフォローしろ。
  お前らの仕事はバラバラの素人仕事だ。物理法則くらい学んで来い。


  そしてCG。
  あまりに酷くて、いちいち汚点を指示することは出来ないが、2つばかり教えてやる。
  海のシーンが多いのだが、水を被って濡れたところは、普通は色が濃い色合いに変化するもんだ。
  お前らの船は海水が喫水を洗っても鮮やかな木の色をしたままだな。


  そして普通、遠景はかすんで見えにくくなるもんだ。
  お前らのCGは遠くの島までくっきりバッチリ見えているな。
  空気遠近法を再現するソフトくらいないのか?




  ややチープなれど、日本・低予算・映画としてなら及第点。
  しかしCGクリエイターは便所掃除でもしてろレベル。
  ファン以外は観ないことをお勧めする。



製作総指揮  
製作  
原案 白土三平 『カムイ外伝
脚本 宮藤官九郎/崔陽一
監督 崔陽一