お手軽ギリシア神話
ギリシア神話の登場人物やエピソードを下敷きに、現代風にアレンジした作品。ネタとしてはそんなに物珍しいものではない。日本のマンガでありがちだしね。
物語中でも軽く示唆されるように、主人公パーシーはペルセウス(英語読みだとパーシャス)を投影したキャラクター。
よってギリシア神話の中でも随一の平和的生涯を過ごしたペルセウスの偉業になぞらえた冒険をする。
ペルセウスはゼウスの息子だが、パーシーはポセイドンの息子だけどさ。
彼は守護サタイアとヘルメス(の息子)、アテナ(の娘)の助けを借り、メドゥサ退治や怪獣(クラーケンではなくヒュドラ)退治をしたり、黄泉下りまでしたりと大冒険を繰り広げる。
ギリシア神話を読んだことのない人なら新しい物語として捉えることができるだろう。
ギリシア神話が上質な物語の集大成であるというのは、アレが現代にまで伝えられている段階で明らかだしね (^ω^)
いささか退屈ではあるが、『今度はこのネタか』と落ち着いて観る事が出来るのが良いところかな。
神話も現代CGで再現できるというのは、今後の映画製作に影響を与えると思われ。
ただね、オリンポスへの入口がエンパイア・ステート・ビルだったり、ハデス(地獄)への入口がハリウッドの地下にあったり、「おまえらどんだけアメリカ好きなんだよ!」と苦笑したくなるのはご愛嬌、で済ませていいんだろうか?
ぶっちゃけラノベ映画
製作総指揮 | |
---|---|
製作 | クリス・コロンバス、マイケル・バーナサン、カレン・ローゼンフェルト |
原案 | 『盗まれた雷撃』リック・リオーダン |
脚本 | リック・リオーダン (原作)、クレイグ・ティトリー、ジョー・スティルマン |
監督 | クリス・コロンバス |
ちなみに、ギリシア神話中でポセイドンのお話はほとんどない。アテナに負けてアテナイの支配権を奪われるのがメインだし、クロノスの腹から助けられるなど、せいぜい集団で扱われるのが関の山の負組神の1柱。
これは多分、ポセイドンはギリシアの神々の中でも古い神であり、後代に派生したゼウスやアポロンなどの神々にその偉業を奪われたのではないかと思っている。
弟に助けられ、あまつさえ天空支配権を奪われたあたりはその名残ではないかと。
ゼウスは出自からしてクレタの海神だし、事実クレタは後代のギリシアを海洋から支配した歴史もある。
ゼウス主体の現行ギリシア神話は、クレタ支配後に成立した神話ではないだろうかね?
バカな話と思うかもしれないが、このあたりの偉業を奪うエピソードは、新興の神がよくやる手口ではある。
神ってのは文化に根付いたものだし、すなわちそれは民族の顔でもあるわけだ。
それを支配する→神を負かすというのは、新興民族が旧態民族を負かしたことの現れであるわけだ。
ドラヴィダがアーリアに侵略された結果、雨神ヴリトラが悪神に落とされ、雷神インドラが恵みの雨を与える役を担ったようなもんだね。
- 作者: リックリオーダン,Rick Riordan,金原瑞人
- 出版社/メーカー: ほるぷ出版
- 発売日: 2006/03/01
- メディア: ハードカバー
- 購入: 3人 クリック: 50回
- この商品を含むブログ (26件) を見る