『悪魔は、否定するだけでは避けられない…。』
実話に基づいたエクソシストの物語。
作品は(現実の)バチカンがエクソシストの訓練校を開き、全世界に常駐させた事実に基づいて作られている。
で、その訓練校に送られた、現実主義者で“信仰心のない”神父見習いが、どのようにエクソシストとなっていくかを描いている。
作中では、基本的にエクソシストとは教会流の精神療法という形式で描かれている。
精神疾患などに対し、医者はこう、薬剤師はこう、行政はこう、セラピストはこう、と様々な対策を立てているように、“教会はこう”というのがエクソシストである。
アイテムとして十字架が出てきて、聖水を振りまいたりはするものの、やってることは悩みを聞き、心の闇を探り出し、それを改善することだけ。
当然、ホラー映画のようにいざとなったら神父が呼ばれるというものではなく、最初から医者やら何やらと共同作業。
パンフレットによると、悪魔憑きの97%は単なる心の病であるとか(つまり3%は悪魔由来/原因不明というのも怖い話だが)。
まあ、今回はその3%なんだけどね。
この中で語られている重要なキーワードは、
「悪魔はその存在を隠す」
首を廻して緑色のタンを吐くなんてのは虚構。
悪魔のやりたいことは、
人間にとりつき、周囲に悪の種をまき、最終的に地獄の住民を増やす
いわば養殖業だから、可能な限り長期間地上に滞在することが重要。
つまり、目立つのは愚の骨頂。悪魔は自分が憑依した人間が、“自然の病気”または“精神疾患”であるように装い、退治に来た神父から隠れ、あわよくば人間による同士討ち(官憲による逮捕とか)させようとしている。
まあ、本来的に、塵から作られた人間が堕落天使に勝てるわけもなく、神父のやってることは悪魔の存在を突き止め、その名を明かし(ここが重要)、名指しで「神の名において出て行け」と命令するだけとなる。
この辺は True Name (日本だと忌名)に関する異教の秘儀も成立に寄与しているように感じる。
たぶんね、バチカンがエクソシストを訓練して世界に配置しようとしているのは、
間違った悪魔憑き
が増えたからなんじゃないかな?
精神疾患はどこにでもあるし、患者がそれっぽいことを言えば“全部悪魔憑き”という風潮になったため、
それはただの病気です
と断言できるメンバーを訓練しているのではないかと思われる。
日本のマンガも影響してんだろなぁ…。
製作総指揮 | ロバート・ベルナッキ |
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製作 | トリップ・ヴィンソン、ボー・フリン |
原案 | |
脚本 | マイケル・ペトローニ |
監督 | ミカエル・ハフストローム |