ケラプティス症候群/Keraptis-Imprints
K症候群は2種類存在する:重度K症候群/complete K-imprintはこの計画を断念した時点のケラプティスの個性を具現化させる。軽度K症候群/partial K-imprintsは能力の一部分だけが具現化される。これらの種類にはまた2つの形態が存在する:潜在性/quiescentと顕在性/activeだ。
潜在性K症候群は文書の形で存在する。PCにとっては、一般的な呪文を記した巻物か呪文書のように見える。これらの呪文に対してリード・マジック呪文を発動することで、『K症候群効果表』のいずれに属するかが明らかになる。例えば、“Kの火”が印されているなら、知的なクリーチャーにとって1レベル呪文として機能し、さらにファイアー・ボールの効果を使用することができる。〈呪文学〉判定に成功するだけでは、K症候群は他の1レベル呪文より強力であることしかわからない。単なる調査だけでは、これらの呪文の欠点は判明しない(『K症候群の副作用』参照)。
顕在性K症候群は、知的なクリーチャーが巻物か呪文書からK症候群呪文を記憶した際に発現する。このような場合、K症候群は『K症候群効果表』に記された、再記憶する必要のない毎日数回使える疑似呪文能力を宿主に与える。
K症候群効果表/Effects of K-Imprints Table
K症候群 種別 利用可能な使用者 呪文レベル 効果 重度K症候群/K: complete imprint 重度 誰でも 1 12レベルのウィザードと同じように呪文を選択でき、すべての軽度K症候群の利益を得る。
贋ケラプティス化を参照。“Kの扉/K:door” 軽度 術者 1 ディメンジョン・ドア(10レベル術者として1日2回発動) “Kの火/K:fire” 軽度 誰でも 1 ファイアーボール(5レベル術者として1日1回発動) “Kの矢/K:missile” 軽度 術者 1 マジック・ミサイル(9レベル術者として1日3回発動) “Kの抵抗/K:resistance” 軽度 術者 1 40%の魔法抵抗(1時間、1日2回使用) “Kの壁/K:wall” 軽度 術者 1 ウォール・オヴ・フォース(10レベル術者として1日1回発動)
利用可能な使用者/Allowed Users
ほとんどのK症候群は、(ウィザードやプリーストのような)1レベル呪文のスロットを占有するため、呪文発動能力を持つキャラクターだけを宿主とすることができる。術者のスロットに余地がない場合、K症候群は自らの居場所を確保するため、記憶済みの1レベル呪文1つをランダムに失わせる。
若干のK症候群はどのような知的クリーチャーでも使用可能だ。このタイプは可能であるなら、1レベル呪文のスロットを占有しようとする;それが不可能である場合、宿主の精神の一角に占めるために【知力】を1ポイント失わせる。(宿主の【知力】は呪文を除去することで回復する;『K症候群の除去』参照。)
K症候群の記憶方法/Memorizing a K-Imprint
K症候群呪文を発動するか、書き写すか、記憶した個人は、+4ボーナスを得て対呪文セーヴィング・スローを行わなくてはならない。成功したなら何の効果も及ぼさない;呪文は巻物の上に残ったままで、使用者は何の利益も得ない。失敗したなら、呪文の効果とは無関係に、使用者は呪文を記憶する。つまり、キャラクターは巻物からK症候群呪文を発動することができない;彼または彼女は、セーヴィング・スローに失敗することで呪文を記憶するか、成功することで何の効果も及ぼさない結果となる。使用者がこれらの呪文を記憶する際、セーヴィング・スローを行わずに受け入れるのは可能であり、望むのであれば、ひとりのキャラクターが同じ呪文を複数回記憶することも可能だ。
ひとたび記憶されたなら、K症候群呪文はページから消え去って利用者の精神に移動し、除去されるまでそこに留まる。宿主は即座に呪文に関する数値の変化(一日の使用回数、正確な効果、除去方法)に気づくが、現実的な副作用には気づけない。
巻物を作成することができるキャラクターは、自分が記憶しているK症候群呪文を新たな巻物として作成することができる。そうしても呪文は宿主の精神から除去されない;それは新たな潜在性呪文を作るだけだ。
K症候群の副作用/Side Effects of K-Imprints
個々の症状は違えど、すべてのK症候群は同じ落し穴を持つ:彼らに含まれるケラプティスの個性は、最終的に宿主の心を破壊してしまうほど激しく活動する。
重度K症候群
ある重度K症候群宿主の個性は、行方不明のウィザードのそれに徐々に置き換えられていき、やがて新たなる贋ケラプティスが生み出される。それぞれの贋ケラプティスは、潜在的に無数の精神の頂点に立とうとする階層意識を持っている。その結果、贋ケラプティスは自身の力を際限なく強大化しようとするため、潜在性K症候群を蓄積していく(『既存の贋ケラプティス』参照)。もちろん、この傾向には良くない面がある - 新たなる贋ケラプティスはDM制御下のNPCとなり、かつ、もしオリジナル・ケラプティスが物質界に帰還したなら、彼あるいは彼女は即座に不可逆的に死ぬ(セーヴィング・スローなし)。
軽度K症候群
軽度K症候群の宿主はその力の源泉である階層的精神に包括されてしまう。K症候群の宿主は1d4+2か月間は通常の生活を送れるが、やがて精神の欠如した肉体へと変化していく - その後は4人の贋ケラプティスの“外部脳細胞”と化す - 一般的には、渦中のK症候群巻物を手にしたままパーティに留まる。(どの贋ケラプティスに包括され支配されたことを明確にするなら1d4をロールしろ。)包括後は、宿主はすべてのキャラクター・レベル、【知力】値、【判断力】値、個性を失い、0レベルで4ヒット・ポイントを持つクリーチャーと化す。その後は食事をし、涎を垂らし、何かを凝視するだけになる。彼女は指導者だけと話し、その進む方向に進む。
この運命は徐々に明らかになる。軽度K症候群を記憶する人は、3日後に奇妙な副作用を経験する。その時点で、影響下のキャラクターは1d6をロールして『K症候群の副作用表』を適用する。これはゲーム時間の24時間毎に繰り返す。副作用は何度でも起こるが、もしDMが望むなら追加効果を考えても良い。これら奇妙な問題は、最終的に被害者が階層的精神の中に取り込まれていくことに気づくだろう(告白した夢を介し、他者のみが)。
K症候群副作用表/K-Imprint Side Effects Table
1d6 | K症候群副作用 |
---|---|
1 | 罹患者は自身が純粋に悪しき行為を犯す夢に悩まされる。 |
2 | 罹患者は注意されるまで「我はケラプティス」と繰り返しつぶやくようになる。 |
3 | 罹患者は代わる代わる様々な強力な意識に観察されているように感じるが、正体を突き止める前にそれは薄れる。 |
4 | 罹患者は注意されるまで「貴様が休んでいる間に、我は貴様らを殺すだろう」と繰り返しつぶやくようになる。 |
5 | 罹患者はジャイアント・クラブを連想させるいたずら書きを、近くの壁や羊皮紙、適当な滑面に描きつける。これは誰かが絵の内容について思いつくまで続く。 |
6 | 罹患者は仲間に対して以下のような「謎解き」を吹っ掛けるようになり、答えないなら彼女らを攻撃する。謎解きに応えないために開始された戦闘から3ラウンドが経過した後、罹患者は戦闘を打ち切り、いま何があったかをすっかり忘れ去る。 謎 彼女は丸いが、板のように平たく見える 狼の王たちが崇めるもの 黒き天鷲の上にあっては宝珠、海の下にあっては真珠 いつまでも変わることなく、いつまでも変わり続けるもの 解答 月 |
K症候群の除去/Removing a K-Imprint
宿主は顕在性K症候群を、他の利用可能使用者に対して発動することで、自身の精神から除去することができる。この転移は意図的でなくてはならない;通常に呪文を発動しただけでは除去することはできない(“Kの火”呪文によるファイアーボールの発動など)。転移の目標がそれを逃れたい場合は、+4ボーナスを得た対呪文セーヴィング・スローに成功しなくてはならない。成功された場合、それは術者の精神に留まる;失敗した場合、K症候群は目標に転移され、通常の記憶に伴う利益と不利益を受ける。しかしながら、この転移を行なっても、元々の宿主は副作用を受け続ける(上記『K症候群の副作用』参照)。
包括の遅延/Halting Subsumption
宿主の精神からの呪文を除去したとしても、包括化を止めたり遅延させることはない。なぜならケラプティスの個性の烙印は永久に残るからだ。罹患者は次元界を離れることで過程を遅延させることができるが、この次元界に帰還することで“白羽山”との空間的距離に関わらずそれは再開する。
包括化の過程を止める唯一確実な方法は、本物のケラプティスをこの次元界に呼び戻すことだ。軽度K症候群によって具現化された彼の不完全な精神は、オリジナルと同じ空間に存在することはできない。そのためそれらは宿主に危害を与えることなく消滅する。しかしながら、この解決策をパーティーは知らない - キャラクターは山の住民から情報を得なくてはならない(第25区画のニックス、第74区画Cのマイコニド、第79区画の復讐のシェイド)。すべての贋ケラプティスとその手勢を抹殺することで包括化は防げるが、感染したPCが新たな階層的精神の基盤となる可能性が高い(『贋ケラプティス化』参照)。
贋ケラプティス化/Becoming a False Keraptis
重度K症候群を記憶した宿主、または軽度K症候群で1レベル呪文のスロットか【知力】値すべてを埋めた宿主は、ウィザードの個性が内面に生まれ、即座に新たなる贋ケラプティスと化す。そして罹患した宿主が残存している場合、その者に取って代わって精神的階層を上げるため、既存の贋ケラプティスを抹殺しようとする(『既存の贋ケラプティス』参照)。
どのPCが贋ケラプティス化したとしても、即座ににDM制御下のNPCと化す。新たな僭称者はすぐに権力基盤を築き、自身の力の武器を求め、他の贋ケラプティスを抹殺すべく動き出す。
新たな贋ケラプティスの作成/Developing a New False Keraptis
DMが追加で贋ケラプティスを作成する(またはかつてのPCをNPC贋ケラプティスとする)ことを望むなら、以下の案内に従ってキャラクターの能力を確定しろ。
新たな贋ケラプティスは呪文効果について12レベル・ウィザードとして作成され、そこに彼女が通常に使用するパワーや能力を加える。発症の時点で、DMは毎日使用する呪文(1レベル4つ、2レベル4つ、3レベル4つ、4レベル4つ、5レベル4つ、6レベル1つ)を新たな僭称者のために用意しなくてはならない。利用可能な選択肢にはキャラクター自身の呪文書や(可能な範囲の)プリースト・リストに以下のリストが加わる。これらはオリジナルのウィザードの呪文書に因るものだ:
- チャーム・パーソン、マジック・ミサイル、スリープ、ウィザード・マーク、K:コンプリート・インプリント *1
- アシッド・アロー、コンティニュアル・ライト、ダークネス(半径15フィート)、ESP、ノック、マジック・マウス、ミラー・イメージ、ウィザード・ロック
- ディスペル・マジック、ファイアーボール、フライ、ライトニング・ボルト、モンスター・サモニング1、スロー、タング
- チャーム・モンスター、ディメンジョン・ドア、エンチャンテッド・ウェポン、エヴァーズ・ブラック・テンタクルズ、アイス・ストーム、インプルーヴド・インヴィジビリティ、モンスター・サモニング2、ポリモーフ・アザー、ポリモーフ・セルフ、ストーンスキン、ウィンド・ウォール、ウィザード・アイ
- アドヴァンスト・イリュージョン、クラウドキル、コーン・オヴ・コールド、カンジャー・エレメンタル、ディスミサル、モンスター・サモニング3、トゥルー・シーイング、ウォール・オヴ・フォース、ウォール・オヴ・ストーン
- コンティンジェンシィ、デス・フォッグ、デス・スペル、グローブ・オヴ・インヴァルナラビリティ、モンスター・サモニング4、テンサーズ・トランスフォーメーション
(7レベル以上の呪文は、贋ケラプティスがその呪文を発動するにふさわしいレベルに達した時点で入手可能になる。)DMが呪文選別を決定するとそれは宿主の精神内で永続化され、すべての呪文に軽度K症候群があるかのように扱われる。新たな贋ケラプティスがのリストに呪文を加えるためには、包括的精神が経験点レベルを上げなくてはできない;その時点で新たな選択肢が示される。(この選択は既存の階層的精神に新たな座を占めなくては存在しない;そうでないものは既存の呪文を得るだけだ。)
他の贋ケラプティスのように、新たな僭称者も呪文を介して他者の肉体を操れる。互いの目で見て、互いの口で話し、互いのアクションを行なう。
既存の贋ケラプティス/The Existing False Kerapti
現在、“白羽山”に存在する4体の贋ケラプティスはケラプティスを自称し、自身に忠誠を誓う軍隊を従えている。しかしながら、それぞれの“僭称者/pretender”とその手勢は他の贋ケラプティスを“簒奪者/usurpers”と呼んでいる。名前を呼ぶ必要がある場合は、抵抗勢力の指導者ニックスが名付けた、“夜闇恐れ”、“泥跳ね波止場”、“興醒め屋”、“ぶつぶつ苔”を使う。4体の贋ケラプティスはウェイヴ、ホウェルム、ブラックレイザー、フロストレイザーを私物であると信じ込んでいる。もしPCがそれらのひとつを他の贋ケラプティスの前に示すなら、僭称者は即座にそれを差し出すように要求する。そのような場合だけ同盟交渉は可能であり、それに応えないのであれば交渉は決裂して攻撃が起こる。
能力/Abilities
それぞれの贋ケラプティスは12レベル・ウィザードとしての完全な呪文発動能力を持ち、加えてケラプティスの完全な個性と重度K症候群がもたらす記憶を持っている。しかしながら、K症候群はオリジナルの精神の完全な複製ではないため、それぞれの僭称者の記憶の大部分はかすみ、また欠落している。
*1:重度K症候群にはすべての軽度K症候群が含まれ、宿主が通常に使用する呪文や作成する巻物にもこれらが含まれる。