ベイン Bane (^ω^).。oO(続きだお

歴史、伝説、そして神話 Histories, Legends, and Myths
  ちょっと抄訳。意訳たっぷりだけどね (^ω^)

  定命の者には神格の真意や時の始まりの出来事を知ることは出来ない。 彼らに出来ることはせいぜいが様々な宗教の“創世”を読み解き、それに整合性を与えようとすることだけである。
  これはそのような“真理”のひとつである。

  彼にはかつて別の名があった。
  彼はアストラル海から出現した三神格の一柱であった。彼らは ‐ 明確な親がいるわけではないが ‐ 兄弟であった。なぜなら彼らは信念にしても知覚力にしても愛情においても同一であったからである。彼らはコード、チュールン、そしてアクラと呼ばれた。
  そのままであれば年を経るにつれ、兄弟は世界を破壊してしまっただろう。しかし彼らはそうならなかった。なぜなら彼らは対立すること自体を楽しんでいたからである。 彼らは争った。コードは争いに伴うスリルを愛した。チュールンは敵が痛みにもだえ苦しむ姿を楽しんだ。そしてアクラは勝利がもたらす優越性を喜んだ。

創造戦争 The War for Creation
  神々がアストラル海を見下ろすと、そこでプライモーディアルの被造物を見た。 彼らはその“世界”を欲した。なぜならそれをより良くする方法を理解したからだ ‐ 互いに“より良く”の内容は異なっていたものの。 そこで神々は被造物を作り変えようとした。そして世界最大の戦いが始まった。
  しばらくの間、神々はプライモーディアルに対して劣勢だった。 元素のパワーはアストラルのものよりも強力であり、そのため神々は混乱に陥った。厳格なるエラシス、不機嫌なるモラディンは自軍の統制に努めたが、〈捕らわれたる神〉グルームシュなどは意見を異にした。
  神々が戦争というものを学ぶ以前から戦いに精通していた兄弟神さえ意見の一致に至ることはなかった。コードは戦いを楽しみ、協力するということは惰弱であると断じた。 長い間チュールンとアクラはともに働いた。しかし間もなくアクラは兄に怒りを覚えるようになった。 なぜならチュールン局所的な戦闘に勝利することに熱心だったが、大局を見ることが出来なかったからである。 戦に携わった神々の中でアクラだけが、全ての神々を自らの指揮下に治め、全ての信者を束ねた大軍団を作り上げなければプライモーディアルを一掃することは出来ないと信じていた。 その時だった。アクラが神々の果たす役割 ‐ 創造とそれに伴うことども ‐ を悟ったのは。



タブラク=ティーの死 The Death of Tabrach-Ti
  彼は幾柱かの神々に呼びかけ、彼の要求を認めた神格による混成軍を作り上げた。アクラは万軍を率いた。 最終的に、アクラは〈青銅の女王〉として知られる恐るべきタブラク=ティーと対峙した。 彼の軍勢は元素軍を三度に渡って戦場から一掃した。そしてアクラはタブラク=ティーと一騎打ちを行なった。戦いは1ダースもの世界に渡って繰り広げられた。それが終わったとき、〈青銅の女王〉はアクラの足元に倒れ伏していた ‐ それがこの戦いで始めて滅ぼされたプライモーディアルだった。
  その後、最も頑固な混沌の神々でさえ、団結する必要性を認めた。そしてプライモーディアルの下僕どもは彼をアクラではなく、別の称号で呼んだ。
  彼らは彼を“ベイン”と呼んだ *1


天界の将軍 The General of Heaven
  アクラが万軍の大部分を指揮する指揮権を得たとき驚くものはいなかった。 彼は配下のエンジェルを指揮するだけではなく、1ダースもの神々のエンジェル率いていた。アクラ ‐ もしくはベイン。彼は自身をこう呼び始めていた。それが敵を怯えさせることに気づいたため ‐ は連戦連勝だった。 とはいえそれは容易な道ではなかった。神々とはいえ無敵ではなかったからだ。しかし力を合わせて事に当たるという方式を考案したことがこの戦争のターニング・ポイントとなったことは疑いない。
  そのことはベインをして、慢心させるに十分だった。彼の指揮権は拡大していった。
  ベインがアスモデウスと呼ばれる恐ろしいまでに強力なエンジェルと出合ったのはその頃であった。 彼は別の神格に仕える従者ではあったが、アスモデウスはベインの助言者となった。なぜなら戦の神格には連帯感があったからだ。両者は互いに互いを嫌悪していたが、それでも礼儀正しく共闘関係を保っていた。
  チュールンだけは彼の地位を羨み、その地位を奪うために彼の戦略を妨害することに腐心した。かれはベイン妨害にはともかく成功した。そしてベインは決してこの行いを忘れなかった。


終戦 War's End
  戦争が終わるということは、ベインと仲間の神々との関係の終焉でもあった。そこで両者の意見は食い違った。
  ベインはプライモーディアルの殲滅を主張した。 神々の大部分は敗北した敵が〈元素の渾沌〉の最深部に撤退したことに満足したが、ベインは将来の禍根を摘むために大要塞をも陥落させるべしと主張した。
  決して認めることはなかったが、彼は権力と野望に溺れていた。戦争の終結はすなわち権威の喪失でもあったからだ。 彼は定命者の世界においても計画を持っていた。彼はパンテオンが統一され ‐ もちろん彼が首領だ ‐ 彼の命令一下、すべてが動くというものだ。 彼の定めた規則の下、定命者は組織的に秩序を保ち、目的に邁進すべきと考えていた。 他の神々がそれ ‐ パンテオンは英雄の下に統一され、機能する ‐ を否認したとき、ベインは茫然自失の体であった。
  彼はパンテオンの残り、すなわち〈捕らわれたる神〉と監獄長トログの協力を仰いだ。しかし、ベインは他の神格が彼の傘下に治まることを是としないことを知っていた。そのため彼は神々を上回る力を得る戦略を考えた。

第二の戦争? A Second War?
  ベインは敵から安全で、独自の計画を進めることが出来る聖域を欲した。 彼の領域は悪に属しており、そこは他の神々を招いていたことからあまりにも知られていた。
  ベインは新たな要塞を築くのではなく、一石二鳥の計略を考えた。 彼は新たな拠点を得、かつ強力なライバルを滅ぼすことにした。
  チュールンは攻撃に気付くことすらなかった。 包囲攻撃は激しく、それが終わった後、チュールンはベインの足元に倒れていた。そうして彼はチェルノガーの領域とチュール=チェルンの〈鉄の要塞〉を手に入れた。
  それと相前後してベインの軍勢は他の神々にも襲い掛かった。 しかしチェルノガーの陥落と同時に、他の神々 ‐ おもにエラシスとモラディン ‐ に率いられた軍勢はベインの軍勢を押し戻した。 彼らは団結し、互いの不和を忘れて立ち向かった。 ベインはアストラル海を撤退して要塞に立て篭もった。敵は個々には弱かったが、同盟されると完全に圧倒されてしまった。
  そしてベインは屈辱の後退を喫した。 彼の野望は今までになく燃え盛った。しかし〈黒い手〉は目的を遂げるためには別の手段によらなくてはならないことを知った。
  そこにグルームシュの攻撃が始まった。 片目の神はチュール‐チェルンを欲し、彼自身の領域であるニシュレクとチェルノガーを連結したのだ。 その日より今日まで、ベインの戦いは続いている(若干の神格が、ベインの行動を規制するためにグルームシュを援助したと推測されている)。

定命者の領域 The Mortal Realm
  ベインはまもなく彼を高めるパワー源が定命者の領域にあることを悟った。 彼自身の軍勢 ‐ 国そのものを彼の軍隊に変え、他者を征服する方法を教え込むことで ‐ で全てを征服することにより、彼は他の神格よりはるかに効率的に信仰を勝ち得た。
  ベインは好戦的な集団や国家、党派に浸透していった。 彼らは新しい戦略と戦術を考案した。そして一部のものはベインの来訪を受けた。 彼らは組織的な軍勢の強力さを知り、早期に文明社会を築いていった。


ゴブリンの蜂起 The Goblins Rise
  ゴブリン族の黎明期、戦いが荒れ狂った。 ゴブリンは無数にいた。バグベアは強かった。その狭間でホブゴブリンは途方に暮れていた。
  セネコスという名のベインに仕える初期のウォー・プリーストがベインの言葉をホブゴブリンに伝えた;ベインを崇拝するのであれば、訓練された戦争の仕方を教えようと。 ゴブリンの神格であるマグルビエトのシャーマンは、成長しつつある異端を根絶しようとした。しかしホブゴブリンがベインの言葉に真価を認めた後、ベイン崇拝は種族全体に広まっていった。
  ベインはチュ−ル‐チェルンからゴブリン神の領域に赴き、マグルビエトと取引をした。 いまではベインはほとんどのホブゴブリンの神格である。マグルビエトは彼のエグザルフとなったが、ほとんど影響力を持たなかった。

地獄の誕生 The Birth of Hell
  ベインはアスモデウスの反乱を予知した唯一の神格であった。なぜなら、彼はアスモデウスと肩を並べて戦っていたときから彼の願望を聞いており、それは遠からぬことと予想していたのだった。
  反乱が勃発した時、ベインはそれを最大限に利用した。 彼は扇動的なエンジェルに助力を提供した ‐ 直接的に手を加えれば、ベインはアスモデウスと神々の戦いに巻き込まれてしまう可能性があるからだ。ベインは関係者というより助言者として、戦略上と戦術上の問題点を指摘するために幾体かの軍事顧問のエンジェルを送り込んだ。 それがどのような効果を与えたかについて明言はできないが、デヴィルたちは他の人間よりもベイン信者に(ちょっぴり)利益を与え、また〈鉄将軍〉の信者は(アスモデウスの信者と同様に)デヴィルを招来する事が出来た。

現在 The Modern Day
  ベインは征服者や将軍、兵士、傭兵の守護神格である。 彼の信者の一部はより残酷で、より邪悪で、より冷酷だ。しかし恐怖は兵士のすばらしい武器であり、それが強力であればこそ支配力を高めることを知っている。
  彼はチェルノガーの〈鉄の要塞〉から様々な計略を放つ。 全世界は彼の戦場であり、すべての神々は彼の敵だ。なぜなら彼は支配者はただ1柱であることを知っているからだ。


  ああ、おもしろかった (^ω^)

*1:災厄の意