ジョン・カーター John Carter

 駄作


 一緒に観に行った友人の言葉に集約される。
「煮え切らない主人公の話は盛り上がらない」


 簡潔に言えば、人物が描かれていない。
 あれだけ他人のための戦いを嫌っていたジョン・カーターがヘリウムのために戦う動機も曖昧であるし、デジャー・ソリスが逃げ出した理由も曖昧。ジョンが戦いに踏み切った理由も曖昧。デジャーが結婚を了承した理由も曖昧。
 曖昧尽くし。これを高評価するのはあまりにも辛いだろう。
 ぶっちゃけ、こいつらに感情移入する理由がない。


 この作品を高評価している人物もいるが、それはおそらく評価する側の脳内に“ジョン・カーター”が既に存在しており、その視点で作品を観ると「よく作られている」という評価が出るのだろう。その人にとっては、ことさらに劇中で人物描写はいらないからだ。


 一方、「いまどきワイヤー・アクションかよ!」という感想を除けば、映像的には素晴らしいと思う。さすがディズニーの面目躍如というところ。
 いやはや、ディズニーも安心して眠ってられないねぇ…。




 原作ファンを無視するなら、ジョン・カーターは現代風なノリの脳天気青年にすべきだったねぇ。
 ディズニー・ヤンキーらしく、何に対してもオーバーリアクションでわめくタイプ。
 つまり定番の、序盤は観客に敬遠されるけど、終盤で応援されるスタイル。
 こいつなら、低重力(地球の1/4)の火星に降り立ってノリノリで大平原を飛び回ったり、手につかんだ巨岩を放り投げて遠くのメサを打ち砕くとかして「最高だぜ!」とスーパーマンしてもいいだろう。
 完全巻き込まれ型で、地球に帰る機会を与えられながら火星に居残る人物なんだから、理由を緻密に書かなきゃ観客は納得しない。緻密に描く時間がないなら、ノリだけのバカ・ヤンキーにするしかないじゃん。


 あ〜あ・・・ (´・ω・)