20080660 イグウィルヴの魔鬼大全、ノールのデーモン・プリンス、イーノグフ

 前回半端だったが、具体的にはこう。


  イーノグフはグラズトと同様に、ゲイリー・ガイギャックスがD&Dゲーム用に創造した存在だ。彼は1eで言及された最初のデーモン・ロードの1柱だ。そもそもの初めからイーノグフは重要な存在で、『最も強力で、最も恐れられる』デーモン・プリンスであった。彼はノールの信者を集めるだけではなく、グールの王としての地位も確立していった。ジェフ・グラブは『次元界の書(3e?)』で、このデーモン・プリンスがアビスで1階層以上複数の層を支配していると言及した。また、この書は我々にイーノグフの領地について紹介している。不毛の塩性荒野 をノールが指揮する奴隷たちが、イーノグフの移動要塞を牽いて進む情景を描写している。
  イーノグフは2eに入ってまもなく抹消されてしまった。しかし彼は1992年にカール・サージャントが記した『Monster Mythology』においてゲームに復帰することができた。ここではイーノグフはデーモン・ロード(タナーリ)にして神格の一員であったが、彼は“巨人”神殿の一員に加えられた。彼は神殿からは余所者とみなされていた。彼はゴアリック神 Gorellik からノールの支配権を奪い取ったとされたからである。イーノグフは巨人神殿の一隅を占めるようになった。しかし彼は巨人からは何も得られなかった ‐ 彼はゴアリックが持っていた力をすべて得たわけではないからだ。
  3eに移行し、イーノグフの重要性は薄れていった。彼はノールの崇拝を集めてはいたが、彼はもはや彼らの主神ではなかった。とどめの一撃は、いわばイーノグフがドレサイン Doresain、グール王の支配権を失ったことだ。アンディー・コリンズとブルース・コーデルが記した『Libris Mortis』において、イーノグフはドレサインが神格を獲得したことにより、その支配権を喪失したとされた(ドレサインは以前から彼を助ける半神であったが)。あるいは、イーノグフの力は割り裂かれてしまい、弱体化したと記された。エド・スターク、ジェームズ・ジェイコブス、エリック・モナによる『魔物の書1:奈落の軍勢』において、彼は野心に満ちた〈破壊者〉にして“弱小デーモン・ロード”に落とされた。ウォルフガング・バウアーとグウェンドリン・F・M・ケストレルによる『Expedition to the Demonweb Pits』において、衰退したイーノグフは悪魔会議の一参加者として登場した。
  4eルールにおいて、イーノグフはモンスター・マニュアルで言及された数少ないデーモン・ロードの1柱である。〈虐殺獣 Beast of Butchery〉はノールを支配する唯一者である。そしてこれら野生クリーチャーの群れは襲撃し、略奪し、そして彼らの血まみれの祭壇に、生贄を捧げるべく世界を闊歩している。イーノグフは残忍かつ野獣のような存在であるが、彼は強力なデーモン・ロードとしての地位に復すことができた。〈虐殺獣〉がその悪臭を放つ領域を離れ、今一度恐るべき戦いを諸次元界に挑むのは時間の問題である。


 このデータには他に22レベルのアスペクト、25レベルの影武者ネズリーブ、20レベルのパラゴン・ザイデン、9レベルの魔獣クロコッタや、イーノグフについての様々な生態が記されている。


 願わくば、この哀れなデーモン・ロードが再び失権することがないことを祈る… *1


Monster Mythology (Advanced Dungeons & Dragons, 2nd Edition, Dungeon Master's Guide, Rules Supplement/Dm5R4)

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Libris Mortis: The Book of Undead (D&D Supplement)

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魔物の書 1:奈落の軍勢 (ダンジョンズ&ドラゴンズサプリメント)

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Expedition to the Demonweb Pits (D&D Supplement)

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*1:最初に登場したクリーチャーはドラゴン・ボール効果でw