第9地区 District 9

  もうひとつのアヴァター


  異星人との接近遭遇モノ…。 ではあるが、ひとひねりしてある。
  要は、ガス欠で漂着した異星人の物語。ガス欠で停船したところ、さらに艦橋にあたる司令船まで脱落してしまったため、にっちもさっちも行かなくなった異星人(エビ PRAWN と揶揄される)が人類に助け出されるも、人数が多くてどうしょもないので、南ア国内に作られた居留地に押し込めて20年といった状況。


  『アヴァター』が西欧人におけるネイティヴ・アメリカン虐殺に対する贖罪だとしたら、これは白人におけるアパルトヘイト贖罪の物語といえようか。
  まぁ、ネタ的にブラック過ぎるので、贖罪云々よりパロって笑うという感じだ。


  主人公は完全巻き込まれ型で、「殺したくない」とか言いつつ使う兵器は地球人を簡単にミンチに代えてしまう凶悪兵器とか、意外と下等っぽく見える異星人の方がはるかに高等技術を有していたりとか、異星人というオブラートに包んで楽しく皮肉を撒き散らしている。


  観ていて『そうだよねぇ』と言いたくなることしきりな作品でした。快作 *1


  一瞬映る航宙図らしき画面には、どう考えても銀河系を含む銀河団が映ってるんだよな。しかもそこで彼らはパッチ・パネルで行き先を選択していた…。
  続編として『第10地区』を企画しているらしいが、そこが人類の居留地であり、惑星の残りはすべて焦土と化していても不思議ないなぁ。

製作総指揮 ケン・カミンズ、ビル・ブロック
製作 ピーター・ジャクソン、キャロリン・カニンガム
原案 自作短編映画『アライブ・イン・ヨハネスブルグ』(英題:Alive in Joburg)
脚本 ニール・ブロムカンプ、テリー・タッチェル
監督 ニール・ブロムカンプ

*1:このブログの主の心は歪んでいます。