エレメンタル駆動の乗り物/Elemental Vessels(『Magic of Eberron』p120)

 カイバー・シャードとそのエレメンタル束縛特性は、エベロン中を動き回る様々な形態の乗り物に動力を供給している。

アース・スレッド/陸上橇/Earth Sled

 アース・スレッドは動力源としてアース・エレメンタルを束縛しており、道の有無に関わらず地面を悠々と進める。

 口伝/Lore:〈最終戦争〉において、ブレランド兵はドロアーム軍に対抗するため、山道を連絡道とした遠隔前哨基地網を構築していた。山中の警戒ポイントは多いが、街道の欠如が警戒を困難にしていた。敵対勢力は容易に遠隔前哨基地を包囲でき、補給を絶たれた基地は陥落した。その要請にカニス氏族とオリエン氏族が応えた。飛空艇やエレメンタル・ガレオン船の技術を転用し、どのような地形も突破可能な、超大型アース・エレメンタルを束縛した小舟を作り出したのだ(〈知識:歴史〉難易度15)。
 〈最終戦争〉の後も、アース・スレッドはコーヴェア中の僻地を繋ぐために使われ続けた。また道無き道を比較的早く移動する手段として、探検家たちも入手して活用した(〈知識:歴史〉か〈知識:地域〉難易度20)。
 オリエン氏族は僻地への旅にアース・スレッドを提供している。価格は1マイルあたり3spだ(〈知識:地域〉か〈情報収集〉難易度10)。

 描写/Description:アース・スレッドは一見して小型の平底船のようで、全長30フィート、全幅15フィートだ。乗り物の前部は露天で低い手すりに囲われただけだが、後部は小さめの覆いが掛けられ若干の保護を与えている。前部には2本のハンドルが付いた操縦台が作りつけられており、そこで操縦士は乗り物に束縛されたエレメンタルと交感する。
 1艘のアース・スレッドは20体までの中型クリーチャーを運搬することができる。貨物部分も使うのであればさらに8体から10体のクリーチャーを運搬できる。乗客と貨物の合計は5600ポンドまでだ。
 エレメンタルはスレッドを地面から1、2フィートほど持ち上げて地面を通過する。アース・スレッドはあたかも地面から浮き上がるかのように進む。そして経路にはわずかな痕跡だけが残る。
 アース・スレッドは深さ4フィートまでの浅瀬や沼地を難なく進むことができる。より深い水深であっても進むことはできるが、乗客と貨物がずぶ濡れになる危険性がある。理論上、操縦者が何らかの方法で呼吸を維持できる限り、アース・スレッドは河川や湖沼、大洋の底に沿って進み続けることができる。
 またアース・スレッドは自然の断崖すらよじ登ることができるが、石壁や類似の構造体を登ることはできない。

 起動/Activation:ドラゴンマーク“移動のマーク”を有するキャラクターであるなら、操縦台のハンドルを握ることでアース・スレッドを操縦することができる。乗り物は経路の地形に関わらず、時速6マイルで巡行する。

 オーラ・術者レベル/Aura/Caster Level:強力・召喚術。術者レベル12。

 建造/Construction:《エレメンタル束縛/Bind Elemental》、プレイナー・バインディング/Planar binding呪文、12,000gp、960経験点、24日間。

 価格/Price:24,000gp。

タンブラー/ころがり号/Tumbler

 この唯一無二の乗り物は、内部に束縛した超大型アース・エレメンタルを用いて地中を軽快に移動し、乗客たちを隠された大洞窟や遥か彼方の貴金属鉱脈まで運び届ける。これは12体の人型生物を搭乗させられるほど大きく、他の乗り物では到達できない場所までも容易に到達することができる。タンブラーの内部は、束縛された第2のエレメンタル(小型のエアー・エレメンタル)により換気されている。

 口伝/Lore:もともとタンブラーは、ズィラーゴのノームによる採鉱調査行を支援するため建造された(〈知識:呪文学〉か〈情報収集〉難易度15)。
 うわさによると、ノームたちはコーヴェア中の選りすぐりの政府機関に対し、スパイ活動に供するため売り込みを行った。その穴掘りパワーは密偵や精鋭部隊をどこであろうと送り込むことができるからだ(〈知識:地域〉か〈情報収集〉難易度25)。

 描写/Description:タンブラーは奇妙な乗り物だ。それは全体から鈍い岩の棘が突き出た、粗削りな岩石の球体のように見える。タンブラーは乗客を乗降させるときに上下に開き、内部には中型以下のクリーチャー12体までが座れる座席が設けられている。
 タンブラーが地面を進むときに回転する。しかし乗り物に取り付けられた魔法の安定装置が内部を平行に保つ。加えて、球体の側面には環状に、透明なクリスタルの窓がはめ込まれており、乗客の視界を確保している。これらの窓は方向感覚喪失を防ぎ、乗り物の操縦士に視野を与え、乗客に自分たちの状況を伝える。

 起動/Activation:操縦士が地面で難易度20の〈職能:操縦〉判定に成功したなら、タンブラーを操縦することができる。しかし乗り物を地中に進ませるには、操縦士はより深い専門知識を必要とする。操縦士は難易度25の〈職能:操縦〉判定に成功しなくては、乗り物を地中に潜航させることができない。操縦士は乗り物内の計器を使って進路を定めるが、計器の意味や読み方に熟知するまでは極めて困難だ。

 効果/Effect:タンブラーは地形の段差や移動困難地形か否を問わず、時速10マイルで巡行する。しかしながら、この乗り物が持つ唯一無二の顕著なパワーは、束縛されたアース・エレメンタルのように地中を通過する能力だ。この状態のタンブラーは時速2マイルの速度で魚が水を泳ぐように石や土を通り抜ける(金属は通り抜けられない)。乗り物が穴掘りした後に坑道や穴は残らず、波紋等といった痕跡も残さない。タンブラーは操縦士を含めて12体までの中型またはより小さいクリーチャーを乗せることができる。乗客は床に固定された座席に着く。座席は下段に6席、上段に6席設けられている(操縦席は上段にある)。
 タンブラー内は魔法で換気されており、12体の中型クリーチャーが10日間問題なく呼吸することが可能だ(窒息については『DMG』参照)。タンブラーが外(地上か大洞窟内かにかかわらず)で少なくとも1時間を費やすなら、この制限時間は刷新される。
 タンブラーを効果範囲に含んでムーヴ・アース呪文が発動されたなら、タンブラーは30フィート押し戻され、内部乗員に4d6ポイントのダメージを与え(セーヴ無し)、1分間に渡って乗り物は機能を停止する。

 オーラ・術者レベル/Aura/Caster Level:中程度・変成術。術者レベル17。

 建造/Construction:《エレメンタル束縛/Bind Elemental》、グレーター・プレイナー・バインディング/Greater planar binding呪文、100,000gp、8,000経験点、120日間。

 価格/Price:200,000gp。