肉の森/The Forest of Flesh キース・ベイカー #ドラゴン誌364

 “肉編み師”モーデイン/Mordain the Fleshweaver には多くの恐るべき逸話が付きまとう。一説には、かつてモーデインは新たなるドラゴンマーク氏族を創造するため自らの家族を犠牲にしたが、生み出されたのは新たなるファウルスポーンであったらしい。以来、親は手間のかかる我が子を、悪い子はモーデインの作った複製と取り換えられ、彼の実験台にされてしまうと脅かすようになったとか。これらの物語の真偽はともかくとして、モーデインは王国歴797年にフィアラン氏族から糾弾された。ソリヨン・シアララン・ド=シヴィス/Salyon Syrralan d’Sivis の記録によれば、“トゥエルヴ”はモーデインを処刑しようとして失敗している。ソリヨンの報告書には、モーデインは酸に浸けても、火刑にしても、水没させても、四肢をバラバラにしても、最終的には「彼は傷ひとつない体で意気揚々と立ち上がった」と書かれている。彼は石化された後にドレッドホールド刑務所(訳注:ラザー公国の監獄島)に送られたが、監獄島に到着する前に脱走した;ソリヨンは「弱い術師ではモーデインの肉体を意に反して固定化できないのではないか」と推測している。

 “黒根塔/Blackroot” - モーデインの塔 - の最初の目撃報告は王国歴873年だった。銀の“浄化”の最中、アンデール国の聖堂騎士中隊がアンデール南部を逃走する一群のワーウルフを追跡した。数週間後、とある警戒員が1体の生存者を発見した。それは半狂乱で戯言を発していた。彼は「真っ黒な、皮のような壁、ねじれたドラゴンの腕のような、太陽に届くように高く」と塔について語った。その兵士は仲間の顛末について語ることができなかった。彼自身については彼が経験した恐怖の証拠だった。彼の上体は通常のままだったが、下半身は死したワーウルフの肉体と融合させられていたのだ。彼の精神状態は迅速に悪化し、まもなく彼は自害した。

 “黒根塔”の場所は以前から確認されていたが、塔は念視と占術から防護されていた。高潔な闘士が穢れたウィザードと被造物を破壊すべく奮闘した。〈最終戦争〉中には五つ国の特使が彼の助力を求めた。そして魔術師たちは彼の秘密を盗むことを夢見た。しかしながら、モーデインと対面できる者は少なく、そして変えられることなく帰還できる者は少なかった…。彼らが帰るとしてだが。


フレッシュトリイル:肉の森/KhreshtRhyyl: The Forest of Flesh


ここまで